この一撃が口火を切り、6点差を逆転勝ち。大谷が打席に立つたびに観客は総立ちになった。当時、テレビ、新聞、通信社を含め総勢30人を超える日本メディアの多くは右翼ポール際の記者席で観戦していた。私もその1人で観客と共用のトイレに向かうと、「大谷がまた打ったぞ!」「3試合連続本塁打だ!」と現地のファンが興奮気味に語り合っていた。
ピンチを切り抜け、吠える大谷翔平
さらに8日のアスレチックス戦では本拠地で初先発し、7回1安打無失点、12奪三振の快投で自身2連勝。7回1死から左前打を浴びるまで完全投球を披露した。大記録達成はならなかったが、4万4742人は一斉に立ち上がった。エンゼルスタジアムが改修した1998年以降、デーゲーム最多の観衆は大谷に温かい拍手を送った。完全投球で迎えた7回1死、マーカス・セミエンに96マイル(約154キロ)を左前に運ばれた直後だった。
「(完全投球は)5回くらいから気づいていた。“来る時が来た”というか、そこに準備して初回からずっと抑えていた」
冷静だった。続くジェド・ローリーに四球を与え、マウンドに集まったナインに「ゲッツー取ってください」と笑った。だが、その必要はなかった。クリス・デービスを投ゴロ、マット・オルソンをスプリットで空振り三振。ピンチを切り抜け、吠えた。7回1安打無失点。12奪三振と圧倒しての2連勝だった。
読者を惹きつける紙面づくりの難しさ
メジャーリーグの原稿は日本のプロ野球の試合と違い、試合終了から24時間近く、時にはそれ以上経過して、テレビやネットニュースで一通り報道されてから紙面化され、そのためデスクからは「見たままの“戦評原稿”ではなく、自分なりの切り口とテーマをもって原稿を書くように」とよく指示を受けた。
今回、大谷が2勝目を挙げた翌日のスポニチ東京版の記事で「スタンドから視察した他球団の西海岸担当スカウトは『15勝、20本塁打もいける』と断言」と紹介したことが切り取られ、「2勝&3発」より大きなフォントで「15勝20発視察スカウト断言」という見出しが躍った。
だが、のちに社内で「読者に誤解を生む見出しだった。シンプルに7回1安打無失点、奪三振を強調したほうが良かったのではないか」という声があったと聞いた。ストレートな見出しをとるか、翌日以降に発行される紙面を意識した見出しをとるか。万人が納得する紙面をつくるのは難しいと改めて感じる試合だった。
2024年 読まれた記事「スポーツ部門」結果一覧
1位:ベンチに戻った大谷翔平をチーム全員が無視…“世界のオオタニ”がメジャー初ホームラン後に受けた“洗礼”
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2位:「叫び声を上げ、そのまま抱きついて…」“五輪連覇”阿部一二三(26)と“日本一黒いグラドル”橋本梨菜(30)深夜のツーショット写真と交際匂わせインスタ《金メダル後のお泊りデート撮からついに》
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3位:「オータニを逮捕しろ」「イッペイはスケープゴートだ」大谷翔平の元通訳が引き起こしたニッポンでは報じられない“借金トラブルの闇”
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5位:ビキニの上からシャツを羽織り…パリ五輪スケボー・銀メダルの開心那(15)のセンスがずば抜けていたワケ〈身長20cmアップ〉
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