“得意の交流戦”と言われて、本当に得意っぷりを発揮しているからビックリ! 交流戦前の3カードで負け越し。その上、開幕から離脱者が相次ぎ、何だか嫌な雰囲気が蔓延していただけに“交流戦”ってだけでこんなに変わるの? とビックリ喜んでいます。しかし、まだまだ長いシーズン。交流戦で波に乗ったからって油断は出来ません。もう一度みんなで日本一になるために、「もう1頂!」ともっともっと活気づいて欲しいです。

 昨季、ムネリンこと川﨑宗則さんがホークスに復帰して、ベンチ入りしたと共に連敗中のチームが1軍も2軍も上昇気流に乗ったあの時のように……。起爆剤的な存在がいたらな~と思っていたんですが、その候補生を発見しました! もちろん、ムネリンは偉大過ぎたのでまだそこまではないかもしれません。でも、チームにヒカリを差してくれると思うんです。ヒカルを投入したら……。

ひょっこり! ©上杉あずさ

ムネリンそっくりの愛されキャラ

 5月23日、全体練習前の早出練習。ヤフオクドームでフレッシュな風を吹かせていたのは、プロ初1軍昇格の3年目・川瀬晃(かわせひかる)内野手でした。右肘関節炎で出場を見合わせたホークスの絶対的遊撃手・今宮健太選手に代わって、昇格後即スタメン出場。翌日の24日にはプロ初安打も放ちました。“ムネリン2世”の呼び声高く、大分商業高校から2015年ドラフト6位で入団。入団当時のプロフィールによると175cm、63kg。

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九鬼捕手の打撃練習を手伝う川瀬選手。一生懸命、重りになっているけど引きずられそう……(笑)。NPBでおそらく最軽量野手 ©上杉あずさ

 細身の体型もムネリンの入団時と同じくらいで、ムネリンさん本人が「僕の若い頃にそっくりだよ」と話していたほど。更には、顔つきに幼さが残る川瀬選手。ファンからは「かわいい」「癒される」などの声が上がっていて、4コマ漫画でお馴染みの“コボちゃん”に似ているとも言われています。ベビーフェイスとはまたちょっと違うんですが、純朴そうな“少年感”が母性本能をくすぐるのかな~。コボガールになっていく女性ファンは多いです。しかし、それとは裏腹にハキハキ話すしっかり者で、高校時代はキャプテンも務めました。福山龍太郎スカウトが「投打ともにセンスの塊」とコメントしていた通り華麗な守備を魅せる20歳。元気いっぱいで愛されるキャラクターも本人が目標としているムネリンのよう。きっと未来のホークスを引っ張っていくような存在になるんだろうなと期待しています。

 残念ながら今回の1軍生活はわずか2日間。25日には登録を抹消されて2軍に戻ってしまいました。しかし、小川一夫2軍監督は1軍で貴重な経験を得た川瀬選手を絶賛していました。

「1軍でも内野の守備だけなら12球団で上手い方に入ると思うよ。あの世代だけならトップクラス。安定しているし、守備範囲も広いし、スローイングも良い。快足ではないけど打球への入りも上手。それに、ショートだけじゃなくサード、セカンド、ファースト、外野も守れるからね」

 元々評価されてきた守備面は、1軍でも遜色ないだろうと安心して送り出されました。一方で打撃は、先述の通り、細身でパワーのなさを指摘されてきましたが、1軍初昇格までの2軍での打撃成績は3割9分4厘。文句なしの成績を収められた要因を「スイング軌道が良くなったことで芯に当たる確率が上がった」と話していました。ホークスの数多いユーティリティプレーヤーの中でベテラン勢を差し置いてでも川瀬選手が初昇格した理由は、誰が見ても明らかな“結果”でした。そして実際に、プロ5打席目で初ヒット。上々のデビューだったのではないでしょうか。

 でも、どれだけ評価されていても、初めての1軍の舞台で緊張して自分のプレーが出来ない人も多いですよね。チーム状態もそんなに良くない時だったし、いきなりスタメンは荷が重いのでは……と思いましたが、そこは川瀬選手の“人柄”が評価されていました。「初出場で1軍の雰囲気にのまれてファームに戻ってくる選手がほとんどなのに、彼は人柄的に1軍でも2軍でも同じパフォーマンスが出来る子だと思ったから、問題なく入れると思ってね」と小川監督の読み通り、1軍選手たちの中にすぐに溶け込んでいました。