急激な成長のなかで伴う痛み
同時に、生成AIをめぐる競争も苛烈になっている。ライバルのグーグルに、マスクが立ち上げたxAIなど、競合のAI企業から優れたAI製品が出ているのも事実で、OpenAIは必ずしも「1強」とはいえない状況になった。
ほんの1年前まで「AIの伝道師」として世界各国の首脳を行脚していたアルトマン自身もあまり表舞台に顔を見せなくなり、その勢いにも陰りが見える。
「急成長の一環だととらえています。成長スピードは尋常じゃないです」
OpenAIの日本法人社長は、NewsPicksの取材に対し、直近の変化についてこう答えているが、急激な成長のなかで痛みが伴っているのは間違いないだろう。
しかし一方で、ソフトバンクの孫正義社長が直近で最新モデル「o1」を「ノーベル賞級」と評したように、今も図抜けた最先端のAIがOpenAIから産まれているのもまた紛れもない事実だ。
アルトマンが、ジョブズやマスクと並び、超えられるのか――。2025年はその試金石の年となるだろう。
◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2025年の論点100』に掲載されています。