政治の中心地、東京・霞が関から“マル秘”政界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。

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元首相秘書官に“赤紙”

 岸田政権を支えたキーマンに再び脚光が当たっている。10月1日付で首相秘書官を退任した嶋田隆元経産次官(昭和57年、旧通産省)が、11月に入り政府が出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構と、半導体大手・ラピダスの特別参与に就任したのだ。

 嶋田氏を顧問などに招聘したい民間企業は多く、岸田氏が退陣を表明した後の9月初旬頃から霞が関・丸の内関係者の間で再就職先に関心が集まっていた。

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画像はイメージです ©GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

 かねて「“就活”は来年6月が過ぎたら開始します。それまでゆっくり休ませてもらいます」と周辺に語っていた嶋田氏が特別参与就任を決めた背景には、経産省の後輩・飯田祐二経産次官(63年、同)の存在がある。内々に、ラピダスと原賠機構をバックアップしていただきたい、と嶋田氏に要望したのだ。

 嶋田氏は2011年9月に内閣府に設置された原賠機構(当時は原子力損害賠償支援機構)の立ち上げにも関わっている。菅直人政権当時、仙谷由人政策調査会長代行が与謝野馨経済財政担当相に要望し、与謝野氏の秘書官だった嶋田氏を支援機構担当室次長に据えたのだ。翌年6月には支援機構連絡調整室長兼務で取締役執行役として東電にも出向した。

 経産省は損害賠償と廃炉支援、そして柏崎刈羽原発の再稼働を東電再生に向けた必須の三条件と位置付ける。「嶋田氏はこれを叶えられる唯一無二の人材」(経産省関係者)とされる。

 他方、ラピダスは石破政権が総合経済対策で発表した「2030年度までに10兆円超の公的資金を投入するに値する官民プロジェクト」の象徴的存在だ。政府はこれまでラピダスに9200億円を投じてきたが、27年の量産開始に向けて25年度に新たに2000億円を出資することを決定した。その一方で、30年度までに黒字企業に変身できるのか懐疑的な向きもある。《続きは「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます》