中学受験を目指す家庭の急増とともに、競争は激化の一途をたどっている。小学校低学年で塾に入り、小学校生活をまるまる受験勉強に費やすストレスによって「髪が薄くなる」などの症状に悩まされる家庭もある。

 一方で、そのストレスを避けてお金も時間もプレッシャーもほどほどの“省エネ受験”を目指す家庭も現れ始めている。中学受験の「二極化」はどのように進んでいるのだろうか。

写真はイメージです ©AFLO

脱毛症のように、一部の髪が薄くなる異変が

 都内に住むC子さんは第一志望だった女子御三家の1つに合格して現在はその学校に通っている。しかし受験の期間、両親はC子さんの髪が日に日に薄くなっていくことを心配していたという。

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 もともと勉強が好きだったC子さんは、3年生の2月に入塾テストを通過してSAPIX(サピックス)に通う権利を手に入れた。中学受験の世界で、3年生の2月は「通塾開始の王道」と言われている。

 SAPIXは成績によってクラス分けされるが、C子さんは常に成績トップのクラス。小学校から帰ると自らテキストを広げ、両親が「勉強しなさい」と叱ったことは一度もなかった。しかしある時、両親はC子さんの頭部に異変を感じた。脱毛症のように一部の髪が薄くなっていたのだ。

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 C子さんの様子を観察すると、机に向かって問題を解いている時に、自分の手で髪の毛をピッと抜いていることがすぐわかった。しかし本人に聞いても自覚はないという。

 ストレスが原因だと考えた両親は、長時間机に向かうC子さんに対して「少し休んだら?」と促したが、本人はなかなか休もうとはしなかった。受験が終わると症状は治まり、今は元気に学校に通っているという。

 こうして自分で髪を抜いてしまう症状を抜毛症と呼ぶ。小学生くらいの子どもに多く見られる症状で、主な要因はストレス。親や教師の言うことを聞く「良い子」ほど症状が出やすいとされている。

 C子さんはSAPIX→女子御三家という中学受験のエリートコースだったが、そこまで高い偏差値の学校を目指さない家庭でも「髪」の問題の話は何度も耳にした。