「暮らしの中で出会ったことや昆虫などを観察していたときの『あっ!』と思う気持ちから始まり、それが探究や創造へとつながっていく体験のひとコマひとコマが、いまの本人の成長へとつながり、支えているのだとつくづく感じています」
紀子さまはこう綴っている。母親の言葉通り、悠仁さまは小さい頃から、探究心が旺盛だったようだ。これからも、皇族としての公的な活動と両立させながら大学はもちろんのこと、生涯、研究活動を続けてほしいと、私は願っている。
天皇陛下からじかに教えを
〈ご自身が非常に関心をおもちのものの一つが自然誌で、(略)ご自身が探求されたいことを更に学び、幅広い視野を身に付けることを目指し、ご関心のある分野を学ぶことができる大学への入学を目標に、熱心に勉学に励まれているようにお見受けいたします〉
2024年3月、宮内庁皇嗣職は、悠仁さまの進路などについて、このように発表した。悠仁さまが「非常に関心をおもちのものの一つが自然誌」と言われても、「自然誌」というキーワード自体が、正直、漠然としていて捉えどころがない。むしろ、私は、「幅広い視野を身に付けることを目指し」という箇所に着目している。大学では文系や理系などの区別なく、まず、幅広く教養や学問を身に着けたい。その上で、特に、自分が関心のある専門分野を究めて行きたいと悠仁さまや両親は考えているのではなかろうか。私もこの考えに賛同する。
「日本は本当に各地に様々な文化があります。そういうものを若いうちに実際にその場所を訪ねて、そこでそういうものに直(じか)に触れるということは、将来的にも非常に大事なことなのではないかなと思っております」
2022年11月の誕生日会見で、秋篠宮さまはこのように話したが、日本全国には、美しい自然や優れた文化や歴史、伝統が残されている。その上、勤勉で善良な多くの人たちが暮らしている。将来、天皇陛下となる悠仁さまが広く日本を知り、深く国民を理解することは、常に国民に寄り添い、いかなる時も国民と苦楽を共にするという陛下の基本姿勢からも必要なことであろう。大学時代は、日本各地を旅行して、こうした自然や文化、伝統と接し、多くの国民たちと直接、語り合い、触れ合ってもらいたい。さらに、海外へも足をのばし、世界の国々から日本を見つめ直し、考えを深めることも貴重な体験だと思う。若い日々の社会勉強や経験が、天皇となる道程においてもきっと役立つはずである。