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 そこで、後者が急浮上したのかもしれない。旧宮家の男性ならば男系男子が保たれる。そう考えた特に保守的な人々は、この案を声高に主張し、そうした人々が支持基盤である自由民主党がこの案を推進しようとしている。

 しかし、旧宮家と呼ばれる人々は、70年以上前に皇族から離れた存在である。一般人として生まれて育ってきた人々が、皇室の血筋だから明日から皇族に入ってもらいますよと言われても、本人は納得するだろうか。また、私たちもその人を皇族として迎え、扱うことができるのだろうか。もし彼らのスキャンダルが皇族に入った後に報道された場合、象徴天皇制全体に傷がつき、取り返しのつかないことになる危険性もあるだろう。

女性皇族が結婚後も皇族に残り…

 ならば、女性皇族が結婚後も皇族に残り、女性天皇となる道が一番シンプルであり、わかりやすいのではないか。

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 世界的にも、長子優先の王位継承という傾向が強くなっている。次世代のヨーロッパの王室は、女王が多くなる。ひとり、東洋の日本だけが「遅れた」国になってよいのだろうか。

 女性も天皇になることができる長子優先の案が認められれば、皇位継承は安定する。次の天皇になるべき人が、そのための心構えを準備できるからである。平成から令和でもまさにそうであった。

 立憲民主党の代表になった野田佳彦は、代表選中、女性天皇を認めるべきと発言した。国民世論も、女性天皇を認めるべきとの声が多数である。与野党が一致してこの方向に策を進めるべきだろう。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2025年の論点100』に掲載されています。