「部屋から出てきた2人」「後ろからどついたら…」
〈視察後に帰る予定が懇親会ができたから明日朝に帰ると言われてうそだとすぐに分かりました。電車で長野へ。(中略)部屋から出てきた2人。隠れたものの怒りは頂点に。後ろからどついたら今までに聞いたことのないような驚いた声を出しましたね。今まではなにを聞いても知らぬ存ぜぬ認めさえしなければなんとかなるという甘さがあったから現場を押さえるしかなかった。つらい現実をつきつけられた。そこから長い話し合い〉
検察側は公判で、こうした被告の女性トラブルと、希美さんの実家から受けている4000万円の借金が事件の動機となったと指摘した。
「被告の不倫相手は結婚を望んでいたが、希美さんとの関係が絶たれると妻の実家から借金の返済を迫られ、選挙活動への支援も得られなくなる。離婚せずに不倫相手との関係を続けるために、希美さんの殺害に至った――というのが検察の主張です。対して弁護側は、夫婦間にトラブルはなく、殺害する動機はないと真っ向から反論しました」(同前)
総勢21人の証人尋問を実施し、検察側は被告が犯行現場に行ったという状況証拠を積み上げたが、具体的な殺害方法は解明されず、決定的な証拠も不明のまま。判決を控えるのみとなった11月末、小誌記者が裁判後の被告に手紙を送ると、勾留されている長野刑務所から返信が届いた。
記者は前職の信濃毎日新聞時代から、逮捕前の被告に対し、亡くなった妻の遺族としてコメントをもらったり、県議として選挙への出馬意向を聞いたりして面識があった。逮捕後も勾留先に何通か手紙を送っていたが、返信が来たのは今回が初めてだ。
今回、手紙を通じて12個の質問を被告にぶつけた。審理が終わった今、被告は何を語るのか。下記が丸山被告から寄せられた手記の全文だ。(斜字は小誌からの質問内容、原文では記者の実名が書かれていたが、本記事ではMと改めた)