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スー あと、前に「自分の写真をいっぱい撮れ」って教えてくれたよね。

大草 うん、今の体をきちんと客観的に見つめてほしい。良い悪いじゃないの。自分のフォルムや肉質をちゃんと把握しないと、それを包む服のことだってわからない。「本当に9号なの? 11号に上げた方がむしろ奇麗に見えますよ」って。現実を直視するって、楽な作業ではないんですけどね。

大草さんの「好き」の見つけ方

スー そもそもの話だけど、大草さんは今、どうやって「好き」を見つけてるの。

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大草 SNSのピンタレストかな。邪気がないので、あそこは(笑)。

スー 人がいると思えないもんね。交流する気、さらさらない。

大草 誰かを羨ましがる必要もないし、平和な世界(笑)。そこで海外の、自分より少し上の世代のファッションスナップを集めてクリッピングしてるの。「髪はふんわり下ろすよりもキュッと結んだ方が素敵だな」「サングラスは丸より四角がいいな」とか、イメージを固めていく場所にしています。

スー スクラップブックだね。私もピンタレストで好きな色の組み合わせをまとめてる。スパイラルパーマをかける時も、ここで画像を集めてイメージを膨らませて。インテリアとか装幀案のフォルダも作ってる。自分の好きなものを見つけるならピンタレストだね。気になったものをとにかくどんどんピンしていく。

 

大草 そうするとAIが似た画像を次々出してくれるからね。とっても楽に自己対話できる。

スー ある種のセラピーだよね。

大草 本当に。自分らしさとか好きなものって、いくら探しても外の世界のどこにもない。私の中から“掘り起こす”ものなんですよね。

 それと、心がなんにもときめかなくなったら、更年期治療を考えてみてもいいと思う。というのも、私、「“おしゃれ欲”がガクッとなくなったら更年期を疑った方がいい」ってお医者さんに言われたのね。新しい服を着たい、おしゃれして誰かに会いたい、見られたいという欲望はホルモンと直結しているから。

※ジェーン・スーさんが現在の髪型に込めた思いや「美魔女」の意義、好きなものを着こなす力のつけ方、そしてこれからの中年のロールモデルまで――。8ページにわたる対談の全文は『週刊文春WOMAN創刊6周年記念号』でお読みいただけます。

ジェーン・スー
1973年生まれ東京都出身。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBSラジオ「ジェーン・スー生活は踊る」、ポッドキャスト番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」のパーソナリティとして活躍中。最新刊は『過去の握力 未来の浮力 あしたを生きる手引書』(桜林直子との共著、マガジンハウス)。

大草直子
1972年生まれ、東京都出身。ファッション誌、新聞、カタログを中心にスタイリングを手がけるほか、イベント出演やコンサルティング、執筆業にも精力的に取り組む。 WEBメディア「AMARC」を主宰。最新刊は『見て触って向き合って 自分らしく着る 生きる』(マガジンハウス)。

写真:平松市聖