女性に増えている、「処方薬依存」とうつの関係

 精神科、心療内科、精神神経科を標榜するメンタルクリニックは激増し、駅前に堂々とメンタルクリニックと看板を掲げる時代になった。

 私たちのオフィスはビルの3階にあるが、2階には心療内科が入っている。夕方6時過ぎに仕事を終えて階段を下りる途中に、2階の入り口のガラス越しに大勢の人たちが椅子に座って待っている様子が見える。それこそ老若男女、背広姿からアパレル業界人風なひとまで、雑多なひとたちがひたすら携帯画面を見ながら診察を待っている。

 現在、女性たちの多くが合併しているのが処方薬依存だ。うつの一般化に伴って処方薬への抵抗が少なくなったことで、抗うつ薬を飲んでから酒を飲むという行動につながっている。

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©AFLO

 コロナ禍で、トー横キッズと言われる女子高生たちが、ドラッグストアで万引きした薬を大量に飲む姿が注目された。市販薬への依存がこうやって増えていく。買えばそれなりにお金のかかる薬(睡眠薬、鎮痛剤、咳止め薬)だが、万引きしなくても保険証があればメンタルクリニックでは手軽に薬が処方される。

 多くのアルコール依存症の女性たちは、メンタルクリニックを受診し「うつ病」という診断名を得ることで、酒だけでは得られない酩酊効果を処方薬との併用で得ている。

※これまで差があると考えられてきた男性と女性の依存症の傾向や、「自己責任論」の広がる社会において、うつ病がどう扱われているかについて論じる全文は、発売中の『週刊文春WOMAN創刊6周年記念号』でお読みいただけます。

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