「もしもし、俺だよ。ナオヤだよ。あれから、DVについての記事や番組を見て、すごく反省したんだ。申し訳なかった。それで、麻理ちゃんに昔カネ借りてただろ。返すから、一度会ってほしい」

 麻理さんは迷ったが、お金を返してもらうついでに一瞬だけならいいかなと思い、近所のファミレスでナオヤさんと再会した。

「30万円くらい貸してたんです。それで会ってみたら、彼は落ち着いていたんですよ。すごく優しくなっていました。そこから、数カ月に1回ほど会うようになっていきました」

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「もう一度、よろしくお願いします」

 そのまま付かず離れずの関係が続いた。そして、再会から5年ほど経ったとき、ナオヤさんから「もう一度、よろしくお願いします」とプロポーズを受けたという。

「当たり前ですけど、すごく悩みましたよ。だから、『考えさせてほしい』って一度保留したんです。でも、本当に別人のように優しくなっていたし、心から反省しているんだなってわかったんです。それで去年、再婚しました。今は私と旦那と私の母で3人暮らしです。私の母に対しても優しくなって、『ババア』なんて言ったりしませんよ。母もちょっと変わっている人なので、『まあ、いいんじゃない』って感じで受け入れています」

 

 しかし、息子たちは今でも、かつて母を苦しめた男との再婚にいい気はしていないようである。

「特に長男は、お父さんのことをあまり好きじゃないようです。離婚したとき長男は1歳ちょっとでしたが、当時のことを覚えているみたいなんです。再婚前に、何度か家に来たことがあったけど、お父さんとは一言も口をききませんでした。今は、息子たちはそれぞれ独立して家を離れているから、『ママの好きにして』みたいな感じです。彼らも大人になったので、今ではお父さんと会えば多少、会話はしますけどね」

 こう話すものの、いくら優しくなったとはいえ、子どもを連れて逃げ出すほどのDV男と再婚するとはにわかには信じ難い。麻理さんに、ナオヤさんの魅力を聞いてみるとこう返ってきた。

「子どもは可愛がるし、私の妊娠中も家事を全部やってくれていました。暴力を振るわれていなかったら離婚はしていないと思います。今は暴力はまったくないですし、ちょっと口が悪くなっても『今のは言いすぎた、ごめん』とすぐに謝ります」

 麻理さんは再婚後、仕事を辞めて専業主婦となり、3人で穏やかに暮らしているという。

次の記事に続く 「夫の暴行は壮絶だった」結婚→再婚→再離婚…自ら再婚を申し込んだ女性が再離婚の前に抱えていた“ある不満”