厚労省の調査によれば、今や3組に1組の夫婦が離婚している。離婚は珍しいものではなくなり、何度も離婚と再婚を繰り返す人も散見される。ただ、同じ相手と再婚する人はかなり少数派だ。今回は、そんな離婚した相手と再婚した人に、そのいきさつを聞いてみた。(全3回の3回目/#1から読む)
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不妊治療を経て子どもも生まれたが…
広尾理子さん(65歳・仮名)と夫のケンジさん(70歳・仮名)の関係は、お見合いのような出会いから始まった。
「当時30手前だった私は、ずっと子どもがほしくて、色んな人に相談していたんです。そしたら、知人が『子どもがいたらいいなと言っている人がいる。バツ2だけど』と教えてくれたんです。聞けば、彼はバーのマスターで5歳年上。知人が私の写真を彼に見せたら、彼が気に入ってくれたと。『一目惚れした』と言っていたらしいんです。そんなの信用できないじゃないですか。だから、実際に彼のお店に行きました」
バーのカウンターの中には、スラッとしてハンサムなケンジさんが立っていた。調子のいいことを言っているのでは、と訝しんでいた理子さんだったが、話してみると嫌味なところがなく、柔和な男性だった。2人は意気投合し、結婚を前提に付き合うことになった。
「半年ほど付き合って結婚しました。彼は子作りのためにタバコもやめてくれたし、不妊治療もできるだけ付き合ってくれました。バーのマスターだからチャラいんじゃないかと思っていたけど、そういう行動を見るにつれてどんどん信用していきましたね」
結婚して3年目、待望の1人目が生まれ、さらに3年後に2人目も妊娠した。不妊治療にかかった2000万円ほどは、すべて理子さんが払っていた。母子家庭で育ち、家族をもつことに強い憧れがあった理子さんにとっては、子どもができるならと証券会社勤めのときに貯めたお金を惜しみなく切り崩したのだ。
これで、やっと幸せな家庭を築くことができるーー。理子さんが思っていた矢先、ケンジさんの不倫が発覚した。
夫の不倫が発覚、離婚を決意
「彼の書斎の机の下から若い女の写真がでてきたんです。問い詰めるとお店の常連客で、20歳だと。ちょうどその頃、家に無言電話や白紙のファックスが何度も届く嫌がらせがあったんです。彼女の仕業に違いないと思いました。彼は最初は否定しましたが、最後は不倫を認めました。私は妊娠中だったので、『産んだら離婚する。だから、とりあえず嫌がらせをやめさせて』と伝えました」