厚労省の調査によれば、今や3組に1組の夫婦が離婚している。離婚は珍しいものではなくなり、何度も離婚と再婚を繰り返す人も散見される。ただ、同じ相手と再婚する人はかなり少数派だ。今回は、そんな離婚した相手と再婚した人に、そのいきさつを聞いてみた。(全3回の1回目/#2に続く)
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妊娠を機に結婚、2人目も生まれたが…
伊藤麻理さん(55歳・仮名)は、今年春に、ナオヤさん(50歳・仮名)と再婚した。2人が出会ったのは、麻理さんが29歳の頃。知人の飲み会で一緒になったことから、意気投合したのだという。
「彼とは、年は違うけど誕生日が一緒だったこともあって盛り上がったんです。あと、私は坂本龍一が好きなんですが、彼はちょっと顔が似てたんですよ。それで、いいなって思ったんです」
ナオヤさんも同じ気持ちだったようで、2人は自然にデートを重ね、付き合うことに。ナオヤさんが麻理さんの家で過ごすという半同棲生活を半年ほど経て、本格的に同棲を開始した。
「私はずっと子どもが欲しくて、同棲して5年ほどが経ったときにやっと妊娠したんです。それで結婚をしました。彼もすごく喜んでくれて、妊娠した時は2人で抱き合ったのを覚えています」
無事、男の子を出産すると2人目の男の子も年子で出産。このとき、麻理さんは36歳、ナオヤさんは31歳である。子育てで毎日がドタバタだが、これから幸せな時間を家族で過ごしていくはずだった。
しかし、2人目が生まれてからナオヤさんのDVが始まる。
「年子で育児が大変で、私が育児ノイローゼになっちゃったんです。それから、ささいなことで口論をするようになりました。彼のほうも、仕事のストレスがあったんですかね。口論になる度に、私を殴ったり蹴ったりしました。彼はお酒が入ったときだけではなく、シラフのときでも暴力を振るうんです。そのうち、帰ってくるなりパンチ、みたいな感じに」