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――引退するまでに寄贈したワクチンは、73万5120本に上ります。

和田 当初はミャンマーだけでしたが、ラオス、ブータン、バヌアツの子どもたちにも届けられるようになりました。僕は無理なく自分に合った方法で支援活動をしてきたんですけど、企業の人たちも僕と同じように、日々の仕事を頑張ればその分ワクチンを送れる仕組みを作るようになったと聞き、嬉しかったですね。自然な形でもっと広がればいいなって。

 細かいことは未定ですが、今後もこうしたプロジェクトは継続したいと思っています。

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社会貢献活動に取り組むアスリートや団体、アーティストを表彰する「HEROs AWARD 2023」受賞式での和田毅さん ©文藝春秋/今井知祐

野球以外のことを勉強したい

――セカンドキャリアのプランはありますか?

和田 まだ具体的なものはないです。いずれ何らかの形で野球に携わりたいとは思いますが、今は野球以外のことを勉強したい。

 例えば、農業をやっている人を訪ね、どうやって育てているか聞いてみたいですね。お米の農家さんとか、ワイン農園の方とか。ソフトバンク元監督の工藤公康さんは今、息子の阿須加さんが始めた農業を手伝っているんです。その工藤さんに「野菜を育てるのは選手の育成と一緒。監督業は農業と似ている」と聞き、俄然興味を持ったんですよ。チャンスがあれば一から学びたいですね。

 日本の名所旧跡も訪ねてみたい。僕は野球の遠征先の都市しか知らないんですよ。例えば楽天のホームゲームだったら松島に足を延ばすとか、日ハムだったら富良野に行ったりとか、上手く時間を使っている選手もいましたけど、僕はホテルで休んでいることがほとんどだったので。

 日本各地の被災地にも直接足を運びたいですし、ラオスやミャンマーで自分が送ったワクチンが実際に使われているところも見てみたいです。家族とゆっくりすごす時間も取れたらと思っています。

 これからは野球以外の引き出しをどれだけ増やしていくかですね。野球のことは自分で勉強できるので、それ以外の知識、人間的素養をいかに磨いていくか。自分で自分に納得できる時期が来たら、野球界に恩返しをします。

撮影=杉山拓也

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