プロ生活22年、日米通算165勝。元福岡ソフトバンクホークスの和田毅さん(43)が、今季をもって現役を引退した。1980年生まれの「松坂世代」最後の現役選手として活躍し続けた和田さんに、引退までの日々について聞いた。(全3回の1回目/続きを読む)

和田毅さん ©文藝春秋/杉山拓也

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引退を決意するまでの葛藤

――2024年11月5日、22年間の現役生活に終止符を打たれました。引退を決意するまでかなり悩まれましたか。

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和田毅さん(以下、和田) 葛藤の日々でしたね。実は引退の2文字が頭に浮かび始めたのは、2018年に肩のケガをした時から。何とか1年半後に復帰したんですけど、その後もずっと万全の状態ではマウンドに上がれなかった。膝が痛かったり、首に激痛が走ったり……。それ以降は「今年ダメだったら引退しよう」と毎年考えていました。今年は、開幕投手に選んでいただいたので何とか身体を仕上げようと思っていたのですが、結局間に合わなかった。

 膝がダメになっていましたね。直線を走ったり傾斜を使わないキャッチボールの時はそれほど痛みが出ないけど、マウンドのような傾斜のあるところから投げると、膝がちぎれそうな激痛に襲われるんです。首にも投げるたびに電流が走るようになり、坐骨神経痛も発症し、肩も痛くなってきていて。この箇所だけ治せばいいという問題ではなくなってきたので、メンタル的にきつかったですね。

 

 体がボロボロの状態で、これはもう「野球を辞めなさい」とサインが出ていると考え、マウンドから降りる決断をしました。7月中旬頃ですね。妻にも「今年でやめることになると思うわ」と伝えました。球団に報告したのは9月です。