「今の日産にはビジョンがないように見える。統合が成功するとは思えません」
そう意気揚々と語るのは、日産自動車のトップに20年君臨したカルロス・ゴーン氏(70)。12月23日、日本外国特派員協会の会見に、逃亡先のレバノンからリモート出席した。
レバノンから会見で…「ホンダと日産に補完性なし」
「アライアンスなどを構想したいときにまず最初に考えるのは補完性だが、(ホンダと日産の)両社にはそれがない。ともに日本企業で、同じ分野に強く、同じ分野で弱い」
「EVに徹底的に取り組んだ企業が勝者となっていて、それはアメリカのテスラや中国企業だ。ホンダと日産は共に生き残りをかけて戦うことになるが、厳しい状況になるだろう」
こう怪気炎をあげたゴーン氏。その会見から2時間後、ホンダ、日産、日産傘下・三菱自動車の社長が揃って会見し、持ち株会社設立による経営統合の協議に入ると発表した。
「長らく仏ルノーに支配されてきた日産は昨年、ルノーの出資比率を引き下げ資本関係が対等に。ルノー以外との提携が可能になった。iPhoneなどを製造する台湾の鴻海精密工業が、日産買収を仕掛ける動きがあったため協議が本格化したとみられる。鴻海のEV事業責任者は日産出身の関潤氏です」(経済部記者)
来年6月に最終合意を目指すというが、最大の懸念は日産の経営危機だ。今年4~9月期の純利益は192億円と、前年同期比で94%の大幅減となった。