さらに、日本文化振興会にも詳しい経緯を尋ねると、事務局長が回答した。
「信頼する役員から紹介されたため、彼を信頼して副総裁の肩書や名刺を渡してしまった。一方で、華頂宮との関係を証明できるものを提示してほしいと長らく求めてきたが一向に応じてもらえなかったため、やむを得ず今年春に名刺を返却するよう要請した。伏見総裁と彼に面識はなく、写真は偶然会合で声をかけて撮影したものにすぎないようだ。当会との関係も現在は解消されている」
伏見氏も困惑しているようで、関係者にこう述べているという。
「本当に私の親族なら私に何か連絡があってもいいが、それもない」
「荒唐無稽な話と言わざるを得ない」
宮内庁関係者が語る。
「旧皇族の当主は宮内庁が発行する身分証を貸与されている。もし出自にまつわる呼び出しがあったなら、こうしたものを貸与されている可能性があるが、誰にも客観的な証拠を見せない以上、荒唐無稽な話と言わざるを得ない」
つまり、華頂殿下は全くの偽物である可能性がきわめて高いのだ。“ニセ殿下”は、有償の講演会活動で収益をあげていたうえ、本物の旧皇族の関連団体までダマしたことになる。思い起こされるのは、2003年に世間を賑わせた「有栖川宮詐欺事件」だ。
「2003年には、断絶した『有栖川宮』を名乗って偽の結婚披露宴を挙げた男女が招待客から祝儀などを騙し取ったとして詐欺罪で逮捕され、懲役2年2カ月の実刑判決を受けました。裁判長は『皇室、皇族を敬う参会者の心情に巧みに付け入る悪質な犯行』と結論づけています」(社会部記者)
ニセ殿下はどう弁解するのか。「週刊文春」記者が携帯に電話すると、
「この電話では取材は受けられない」
と語るのみ。11月18日、多くの講演会を主催していた一般社団法人「厩戸ノ華頂」に取材依頼のメールを送付したが、回答はなかった。そして2日後、「華頂宮チャンネル」は全動画を削除して名称を変更し、「厩戸ノ華頂」が12月に予定していた華頂殿下の講演会も「都合により中止」とHP上に記載された。それ以降も記者の連絡には一切返答がなかったが、11月22日、「週刊文春」編集部宛てに本人から電話があり、電話口で一方的にこう語ったのだった。
「私は自分のルーツについてそう思っている、としか言えない」