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米と水、水運に恵まれた町にできるもの
阪急伊丹駅東側の商店街を抜けてゆくと、すぐにちょっとした広場に出た。三軒寺前広場というらしい。周囲には神社仏閣が集まり、立派な蔵造りの建物も見える。この広場からさらに東に続く道は、「伊丹酒蔵通り」と名付けられている。
江戸時代、伊丹の町は摂関家のひとつ・近衛家の領地で、現在の伊丹市街地に通じる伊丹郷町は年貢米の集積地という一面もあった。さらにすぐ東側には猪名川が流れる。
つまり、酒の原料となる米が集まり、水も確保でき、できた酒を運ぶ水運の便にも恵まれていた。こういう事情もあって、古く伊丹では酒造業が栄えたという。近代以降も、伊丹は酒造りの町。そうした雰囲気を残す町が、伊丹酒蔵通りというわけだ。
伊丹酒蔵通りをさらに東に抜けてゆくと、マンションの間を通った先にJR伊丹駅が見えてくる。
駅ビルを従え、広々としたロータリーも備えた阪急の伊丹駅と比べれば、JR伊丹駅はだいぶ規模が小さく感じられる。駅ビルなどはもちろんないし、それどころか駅前広場すら乏しい。