肥満の指標「BMI」は25以上で太り過ぎとされている。では、その根拠は? 明快な答えがないとしたら。英BBCのジャーナリストが『世界を変えた14の密約』で明かした”太り過ぎ“をめぐる恐るべきカラクリを、訳者が解説する。
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わたしたち現代人は本当に太り過ぎなのか
大企業に勤めるわたしの知人で、年1回の健康診断の直前に2日間絶食している男性がいる。わたしから見ると、平均的な体格で、決して太り過ぎの分類には入らない。それなのに数年前に健康診断でメタボ認定を受けてしまったと言う。たしかに、2008年にメタボ検診が義務化されてからは、わたしの周りでも体脂肪やBMIが話題になることが増えた。でも、わたしたち現代人は本当に太り過ぎなのだろうか? 昔よりスマートになっているように見えるのに?
答えはイエスだ。本書によると、イギリス人の平均体重は1960年代より19・5キロも重くなっている。アメリカ人の肥満率は75パーセントと言われる。日本でも肥満人口は増加の一途をたどり、今や2300万人に達したと推計されている。
ではいつごろからなぜそうなったのか? これほどダイエット産業が成長し、いわゆるローカロリーの食品がスーパーの棚を埋め尽くしているのに、どうして肥満は減らないどころか、増え続けているのだろう?