お金がない時代に“対策会議”で決まった「フリーの道」
――そんな中で“フリー素材アイドル”というアイディアはどのように生まれたんでしょう?
Mika 当時私たちはお金がないし、事務所側も私たちにかけられるお金がなくて、でもどうにかして世間の方に知られたい、と思っていたんです。そこで、事務所の方とクリエイティブディレクターの方と私たちで“対策会議”を開きました。いろいろな案が出たよね。
Rika そうそう……。
Mika Mika+Rikaのパンを作ろう、とか。
――パン!?
Rika 他にも、サランラップを作る、とか文房具を作る、とか……。
――その中で採用されたのが“フリー素材”になるという方法だったんですね。
Mika はい。とにかく「知名度を上げるために何ができるか」を考えたんです。決まったときは斬新で面白いという期待と、私たちどうなるんだろうという不安が半分半分でした。ただでさえお金がないのに、無料で使える画像を配信して、いつかお金を稼ぐことにつながるんだろうか、という疑問もありました。
Rika どんな風に使われるのか、どんな反響がくるのかも全く読めなかったんです。
――しかも、フリー素材の撮影用の費用はクラウドファンディングで調達する、と。
Mika そうなんです。当時どんな企画になるか分からない状態で資金を募集したので、企画を見て出資してくださったという方より、ファンの方が出資してくれたのだと思います。ありがたいことです。
Rika もしかしたら5人しか入らなかった、あのときのライブのお客さんも出資してくれていたのかも。地道にライブハウスを回ってよかったです。
顔を加工されたこともありますよ
――フリー素材は、具体的にどういった使い方をされているんですか?
Mika タウンワークさんのネット広告や、JOYSOUNDさんのホームページなど様々に使っていただいています。出会い系サイトの女の子の一員に使われたことも(笑)。1000点以上挙げているので、中にはあまりかわいく撮れていない写真もあって、たまに「何でこれ使うんだよ~」なんて思ったりもします。
Rika 飛び込んでみてから、フリー素材の画像ってこんなに需要があったんだ、と気づきました。巨大なお金が動く広告ではなく、SNSやネットで配信するための短期のキャンペーン画像や、ティッシュにはさむちょっとしたチラシに使われることが多いです。
――使用時の報告義務や規定はないんですか?
Mika 利用規約は用意していて、風俗のキャンペーン用に使うのはやめてください、ということだけお願いしています。利用時の報告義務はないのですが、私たちが何に使われているのか気づきやすいように、「Mika+Rika」のロゴを付けてくださるとありがたいな、というお願いはしています。でも、これは義務ではありません。
――報告時の義務がないと、ちょっと嫌な使い方とかされたりしませんか?
Mika されますよ! 顔を加工されたり。私の写真に「この子、エラが張ってなかったら使うのにな~」とコメントされたことがあったんですが、それに対してRikaが勝手に「エラ、削っていいですよ! かわいくしてください」って返事したんです。コメントしてくださった方も「いいんですか?」と驚いていました。
Rika かわいくしてもらえてよかったよね!(笑) どんな使い方でもいいので、面白く、いっぱい使っていただきたいんです。私も、スタイルのいい女の人の裸を合成されたことがあります(笑)。一応、ダウンロードするときに「人権侵害になるような利用方法はやめてください」と表示はしていますし、本当はだめなんですが……。
Mika まあ、スタイルがよくなってよかったよね(笑)。