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旅館の前に積み重なっていた家や車はどうなったか

 約11か月ぶりに訪れると、津波によって流されてしまった車は撤去され、一部の家屋は解体されていた。その一方で、1メートル以上も浮き上がったマンホールや、大きな段差が生じた橋は、そのままになっていた。

鵜飼地区。被災したままの車両の姿もあった(2024年11月撮影)

 漁港の近くで船舶の作業をしていた男性に話を聞いた。最も困っていることを聞くと「こんなこと言うともっと困ってる人に申し訳ないけど」と前置きしたうえで、「あの橋が通れないことですね」と話してくれた。

橋梁に段差が生じた橋は取材時点で通行不能となっていた(2024年11月撮影)

 鵜飼漁港の近くにある橋は、橋桁が1メートル近く持ち上がり、通行止になっている。この上流に架かる橋も通行止になっているため、何キロも迂回しなければならないという。

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 橋を架け替えるという話も出ているが、見たところ工事は始まっていない。男性の苦労は、しばらく続きそうだ。

4.9メートルの津波が襲った白丸地区

 能登町白丸地区では、今回の地震で最大4.9メートルの津波が襲い、火災も発生した。1月に取材した際には東日本大震災の被災地を思い出さざるを得なかった。

能登町白丸(2024年1月撮影)

 しかし、津波と火災により沿岸部は壊滅的な被害を受けていたにもかかわらず、2024年1月14日の時点、つまり震災発生から2週間程度で集落内の道路が概ね通れるようになっていた地域だ。

 当時、津波に破壊された建物や車が打ち上げられていた海岸には、現在、フレコンバッグが並べられ、沿岸部の景色が大きく変わっていた。倒壊した家屋の撤去が進み、更地が目立つ。海辺で作業していた男性に話を聞いた。

能登町白丸(2024年1月撮影)
能登町白丸(2024年11月撮影)

 前回訪れた際、白丸地区の道路復旧が早かったことについて話を聞くと、意外な返答があった。