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稼いでいるのに地元に残る

 テクノロジーと演じ切る力。そしてこれがママタレ・辻ちゃん成功の最も重要なポイント「板橋区的愛おしさ」。稼いでいるのに地元に残る、これこそ辻ちゃんの鋭敏な嗅覚の賜物だと思います。港区のタワマンにも住めるであろう財力があるのに、ずっと身近な存在でいてくれること。結局ウィンナーなんですよ。加工肉、やっぱおいしいじゃないですか。おでんのウィンナー、結局うまい。酒のつまみにウィンナー、間違いない。ごはんのお供にウィンナー、合う。素材を吟味し栄養バランスに気を使った手の込んだ料理を秒で追い抜いていく罪な味、それがウィンナー。

杉浦太陽のインスタグラムより

 ママタレ界の西の正横綱・工藤静香はSupremeのジップロックに干し芋をしのばせますが、決してキムタクやKōki,やCocomiの食卓にウィンナーをしのばせません。工藤静香は降りてこないけど、辻ちゃんはいとも容易くウィンナーに降りる。辻ちゃんが「嫌われ者曲線」を乗りこなし、人気ママタレへと歩みを進めた要因はそんなところにある気がするのです。

工藤静香(VOGUE JAPANのYouTubeより)

 今から10年以上前になりますが、『女性誌レビュー』という企画でギャルママ雑誌『I LOVE mama』を定期購読していたことがあります。そこには辻ちゃんのように若くしてママになったギャルたちが、つーちゃん(益若つばさ)のつけまを再利用しながら、デコネイルに火を灯すように節約する姿が。彼女たちの目指すもの、それは一にも二にもマイホーム購入。専業主婦として家族を支えながら、「若いママだからってバカにしないで!」と世間に気を張りながら、いつか夢のマイホームを手に入れたい。辻ちゃんは「ギャルル」*としてはあんま活動できなかったけど、多くのギャルママたちの悲願を今板橋で達成しているのです。
*2007年にデビューしたつんく♂プロデュースのギャルユニット

杉浦太陽のインスタグラムより