1ページ目から読む
3/4ページ目

渡り鳥の飛来地に囲まれているにもかかわらず…

 そもそも、務安空港が渡り鳥の飛来地に囲まれているにもかかわらず、バードストライク対策などの安全管理がずさんだったという批判も出ている。務安空港の新たな設置は1998年に当選した金大中(キム・テジュン)大統領の選挙公約だった。しかし、近距離には光州(クアンジュ)空港と麗水(ヨス)空港がすでにあったうえ、務安地域が有名な渡り鳥の飛来地であることから環境団体などを中心に空港建設に反対する世論が強かった。

 2003年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権に入り、建設が頓挫しそうになることもあったが、この地域出身の大物政治家である韓和甲(ハン・ファガプ)議員肝煎りの政策として推し進められ、2007年についに開港した。だが、総人口300万人程度の光州市+全羅南道地域ではすでに既存空港だけでも十分な状態だったため、務安空港の年間利用客は当初の予想値の0.2%水準である1万8000人(2012年基準)にとどまり、韓国の14の地方空港(仁川空港を除く)の中で最も赤字幅が大きい空港となった。

渡り鳥の飛来地という懸念があった(イメージ写真) ©AFLO

 赤字が大きいだけに、空港管理面でも様々な問題点が明らかになった。まず、周辺に4ヵ所渡り鳥の飛来地があり、バードストライク発生率が地方空港の中で最も高かったにもかかわらず、鳥を追う安全要員は4人のみ。事故当時は、そのうちの1人だけが勤務していた。

ADVERTISEMENT

 高強度のコンクリートの丘もコスト削減のためであった可能性が高い。2007年開港当時から設置されていたコンクリートの丘は2023年に補強工事を経て、上部にローカライザーと共に「アプローチライト」等の照明施設を設置された。これに対して航空専門家たちは「照明施設とローカライザーを一緒に置くケースはほとんどない」として、「照明施設の重さを支えるためにコンクリートの丘をさらに補強したのではないか」と指摘している。