斉藤 どうですかね。意外と俺はせっかちだし、四六時中なにかやってるんですよ。休みと言われても、どうしたらいいのかわからないタイプで。それこそDIYとか、なにかしら動いてるんですよね。実はボーッとできなくて。それは民はんもそうじゃないのかな。見てると、こだわりがすごいから。音楽だけじゃなく、釣りもゴルフも、めいっぱいやってますよね。料理もするし。だからオフでも休んでなさそうな気がしますけど。
ミュージシャンにとっての30周年
――昨年10月に行われた民生さんのソロ30周年記念ライブ「59-60」の初日に、和義さんはゲストで参加しました。バックステージなどで、民生さん本人になにかお祝いの言葉はかけましたか?
斉藤 打ち上げが楽屋のほうであったので、そのときは「おめでとう」みたいな感じになりましたけど、個人的にはないですかね。
――和義さんも昨年30周年を迎えましたが、そういう節目はミュージシャンにとってどれくらい大事なものですか?
斉藤 まあ個人的には、何周年だからってどうこうというのはあんまりなくて。10年くらい前の映画だと思うんですけど、ブリットポップを振り返るような作品があって、それを配信で観たんですよね。ブラーやオアシスのメンバーが出てきて、当時のブームはどうだったとかしゃべってて。
でもダサっと思っちゃったんですよ。20年やそこらで振り返っちゃうんだ、すごくかっちょ悪いなって。この人たちは進行形であることをあきらめちゃったのかなと。それは自分が30周年を迎えたからといっても、同じように思いますよね。普段はあまりやれない昔の曲をやる、そういう機会としてはいいなと思ったりするけど、ただ振り返ってるだけだとどうしようもないじゃんと思っちゃうので。
新しい曲も変わらない熱量でやってる
――和義さんも民生さんも、楽曲の制作やライブをコンスタントに行って、進行形のミュージシャンであり続けていますよね。
斉藤 やっぱり昔のあの曲のほうが好きだとか、キャリアを重ねてくると、どうしても言われたりするんですね。こっちも誰かの曲を聴いたときに、そう思ったりするし。たしかに30年前に出した曲は、聴いた人のその後の思い出とともにあるので、親密度が違いますよね。新しい曲はまだ染み込んでないだろうから。
でも自分としては昔の曲と変わらない熱量でやってるし、もっと熱を込めてるつもりでもあるし。その時点からまた時間がたてば、この曲はいいなと思ってもられるはずなんですよね。わりと評価の低かったローリング・ストーンズの90年代の曲も、いま聴くとやっぱりいい。
だからなんて言うのかな。どの時点の曲だって、そのときの器いっぱいに詰め込もうと思ってるし、昔の曲のほうがよかったとか言っちゃう人には、いや、こういうことなんですよって言いたいなって思う。それはわかる人にはわかってもらえると思うんですよね。俺に限らず、みんなそういう思いでやってるんじゃないかなと。だから何周年で過去の曲だけやって、楽しかったねーだったら全然意味がない。新しいものと同居させてやるならオッケーっていう考えではありますけどね。
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