斉藤和義にはソロ30周年を迎えた奥田民生に“ずっと続けてほしいこと”があるという。果たしてそれは……。(全2回の後編/前編を読む)
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お酒が入ったとき、どんな話をするんですか?
――民生さんと飲んだりするときは、どんな話をするんですか?
斉藤 どういう話だろう。楽器の話が多いのかな。ギターだったり、機材だったり。だいぶ酔っぱらえば下の話もしますかね。
――やっぱりそうですか(笑)。
斉藤 そうそう、そんなのもあったりするけど、基本的に民はんはバーッと自分のことをしゃべる人じゃないから。聞けばそれなりに答えるけど、みずから進んで話すような人じゃないし。よく覚えてるのは、「息子」(95)っていう曲があるじゃないですか。前にあの曲について、「子どもができたから作ったの?」って聞いたら、「子どもが生まれる前に急にできた曲」とか言われて、「へえー」って。
ユニコーンの「働く男」(90)についても、「なんでああいうアレンジになってるわけ?」って聞いたら、「あれはミュージカルを作ろうと思ったんだよね」って、なるほどなと思うような答えが返ってくるんです。でも、なんせシャイな人だから、っていう印象がありますよね。お酒が入れば饒舌にもなるけど、入ってないと本当にシーンとしてる人で(笑)。「機嫌悪いの?」って思うくらい。
――YouTubeチャンネルで楽器や機材の話をしているときの民生さんは饒舌ですよね。
斉藤 そうそう。やっぱり好きなんでしょうね。シールドにしても、マイクにしても、こう録るとこういう音になるとか、音へのこだわりはすさまじいところがあって。ドラムも好きだから、例えば昔のシンバルスタンドはなかまで真鍮が詰まってるけど、最近のスタンドはなかが空洞になっていて、叩いた音色がこう違うとかね。どちらかというと、そういうマニアックな話が多いですかね。そういう俺の知らない話もいっぱい知っていて。
――で、酔っぱらうと砕けて、下の話になると。
斉藤 まあ民はんは基本的にしないので、俺がずっとしてるだけで(笑)。そうすると、乗ってくるときもあるっていう感じですね。
「民はんはダントツで歌がうまいと思うんです」
――カーリングシトーンズを結成して以降は、レコーディングで顔を合わせる機会も増えたと思います。ミュージシャンとしての民生さんの魅力はどこにありますか?
斉藤 いちばんは歌がうまいっていうところですかね。うまいというか、すごいというか。声量もそうだし、ピッチの正確さもそうだし、ハイトーンの高さもそうだし。うちらの世代だと、ダントツで歌がうまいと思うんです。
――民生さんの高音は、かなり高いところまで出ますよね。
斉藤 出るんですよ。ラウドネスに入れるくらい出る(笑)。あとなんだろう、もちろんギターもいいし、ドラムもいいけど、やっぱりいちばんは歌かな。