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「確認してあげないとうんちがパンツについていることが…」

――思春期の女子には負担が大きいですよね。他にも日常的にしていたことはありますか?

月まる 大きかったのはトイレですね。自分でトイレには入るんですが、うんちを綺麗に拭けないので、確認してあげないとうんちがパンツについていることがあるんです。なのでトイレのたびに拭いてあげていました。妹の生理が始まってからは、生理用品の交換もできないので、生理の時期には必ず待機してパンツをはく前に交換してあげていました。

――家にいるときはずっと妹さんのことを見ている必要がありそうです。

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月まる そこまでではなくて、リビングの真横にトイレがあったので、妹がトイレに入ったら気をつけておくぐらいです。トイレを流すのも好きで、止めないと永遠に流しちゃうので、1回目に流す音が聞こえたらすかさず見に行っていました。

 私がいない時間は母がやっていたのでしょうが、家にいる間は「お姉ちゃん行って」という感じで。「普通」の家ではそういうことはないと知ったのは、大人になってからです。

――世話をすることが当たり前だった。物を壊されるというのもよく聞きますが。

写真はイメージ ©AFLO

月まる 教科書をぐちゃぐちゃにされたり、カバンにマジックで落書きされたりとかは日常茶飯事でしたけど、実年齢も精神年齢も離れていたので「あーあ」ぐらいにしか思っていませんでした。「妹の手に届くところに置いていた私が悪かったな」と。振り返ってみれば、子どもの頃の私はすごく「いい子」だったと思います。

 妹が失踪したときもちゃんと迎えに行きましたし。

――失踪?

月まる 妹の中学は家から電車で数駅離れていました。知的障害が重いので送り迎えは必須なんですが、「なんとか一人で行けるようにしたい」という母の方針で、学校の先生に駅まで送ってもらい「1号車の後ろのドア」など場所を決めて家の最寄り駅でピックアップしていました。

 でもある日、母が妹を見つけ損ねてそのまま電車に乗ったままになってしまって。

――それは大変です。