――月まるさんは引っ越しはどういう気持ちだったんですか?
月まる 「あと1年で卒業だから転校したくない」とは言ったのですが、「妹のことが大変だから」と一蹴されました。「どうせ中学受験するんだから今の学校の友達とずっと一緒なわけじゃないし、大したことじゃないでしょ」と。
――小学生にとっての転校は大人が考える以上におおごとですよね。
月まる しかも、私立の小学校から公立の小学校に転校したら激しいイジメにあったんです。
「お前の妹、指も舐めててめっちゃ汚かった」
――どんなことがあったのですか。
月まる イジメのきっかけは妹でした。妹がスーパーで癇癪を起こしてひっくり返っていたところを、たまたまクラスの人に見られたんです。
それで次の日に「お前の妹、スーパーでひっくり返って騒いでたし、指も舐めててめっちゃ汚かった。お前も汚いから近づくな」と言われ、イジメのターゲットにされました。私の机が教室の端にどかされたり、上履きをゴミ箱に入れられたり。
教師も見て見ぬふりで、何もしてくれなかったです。
――妹さんを理由にいじめられてどう思いましたか。
月まる ただただ、悲しかったです。私は妹のことをかわいいと思っていましたし、妹が癇癪を起こしたり指を舐めたりするのは障害で仕方ないことなのに、悪く言われてしまう。
引っ越す前の地域では、私の友達も妹のことを小さい頃から見ているから優しく接してくれていましたが、引っ越した先では全然状況が違って。「障害があると、社会ではこういう差別を受けるんだ」と気づきました。
――いじめられたことについて親の反応はどうだったんでしょう。
月まる 母には「なんで言い返さなかったの」って怒られました。私の悲しい気持ちには全く共感してもらえず、むしろ「妹がひどいことを言われているのに、守らなかった悪いお姉ちゃん」という扱いで……。
それでだんだんと私の怒りの矛先は母に向いていきました。