障害や病気のある兄弟姉妹がいる子どものことを「きょうだい児」という。きょうだいの世話をするために進路が制限される、きょうだいの障害が理由でイジメを受けるなど、過酷な幼少期を過ごす人も多い。
月まるさん(40代女性)も、5歳下の妹に重度知的障害と自閉症があったことをきっかけに、日常的にお風呂やトイレの世話をするようになり、妹を理由に学校でイジメのターゲットになったという。「きょうだい児」の過酷な境遇について話を聞いた。(全3回の1回目/続きを読む)
◆◆◆
――家族構成から教えていただけますか?
月まる 父は会社員、母は専業主婦で、私は長女です。2歳下に弟がいて、5歳下の妹に重度知的障害と自閉症がありました。
――妹さんの障害がわかったのは?
月まる 私が7歳のときには妹は療育手帳(知的障害者に交付される手帳)を持っていたようですが、もっと前から妹に障害があることは子どもの私でもわかっていました。
私が小1の11月に初めて妹に名前を呼ばれたことはよく覚えています。そのとき妹は1歳10カ月で、弟と比べても発語が遅いのは幼いながらにも理解していましたし、癇癪を起こすこともあったので。
ただ両親からは妹の障害の説明は受けていなかったので、なんとなくしかわかっていなかったですね。
「なんでこんなに体の大きい子のお風呂の世話を毎日しなきゃいけないのだろう」
――妹さんのお世話はいつ頃から始まったのでしょうか。
月まる お風呂は私が小学校低学年の頃からずっと1人で入れていました。5歳差なので、妹のお風呂の世話をするのはありうると思うのですが、中高生になって妹も大きくなると「なんでこんなに体の大きい子のお風呂の世話を毎日しなきゃいけないのだろう」と、面倒に感じるようになりました。
――お風呂の世話とはどういうものなんでしょう。
月まる 妹の知的レベルは3歳くらいで止まり、たとえば「お腹を洗って」と言ってもおへそ付近しか洗えないので、私が全部洗っていました。それが、大学2年生で一人暮らしを始めるまでずっと続きました。