フィギュアスケートの人気が長期低落傾向にある。

 選手がさまざまな曲を使用して演技を披露するさまは観ていて飽きないし、ジャンプやスピンなどのフィギュアスケートならではの技も組み込まれている。もちろん競技だから順位がつくが、選手たちの喜怒哀楽にも引き込まれる。

男子競技シーンのトップを走る鍵山優真 ©時事通信社

 しかし大会やアイスショーの観客動員が減少傾向にあるのは事実で、2024年には10月の恒例行事だった3地域対抗戦のジャパンオープンも中止になった。ゴールデンタイムに中継される大会も、年末の全日本選手権とNHK杯くらい。2024年の世界選手権で代表に選ばれた三浦佳生選手が新聞のインタビューで「お客さんが減っている」と危機感を露わにしたこともある。

ADVERTISEMENT

「コアなファンだけだと競技としての人気は広がらないし、むしろ縮小しますよね?」

 フィギュアスケートを取材してきた新聞記者はフィギュア人気の現状をこう語る。

「広告代理店だったりマネジメント事務所、テレビ局などの危機感は強いですね。その雰囲気は選手にも伝わりますし、観客席の空席は一目でわかります。現状を気にしている選手も多いです」

羽生結弦はプロに転向 ©GettyImages

 とはいえNHK杯や昨年末の全日本選手権では、満員の客席がテレビに映し出されていた。どういったところに影響が出ているのだろうか。

「熱心に応援するコアなファンの人たちは一定数いるので、NHK杯の東京の代々木第一体育館、全日本選手権の東和薬品RACTABドームは、満員御礼とまでは行かないもののそれなりにお客さんが入っていました。

 ただ以前はチケット発売日は争奪戦でしたが、今は売れるスピードが全然違いますし、そもそも完売することもほとんどありません。コアなファンだけだと競技としての人気は広がらないし、むしろ縮小しますよね? ミーハーという言葉は否定的に使われがちですが、やっぱりライトなファンがいなくなると息苦しくはなってきますよ」

世界選手権を3連覇の坂本花織 ©時事通信社

 熱心なファンたちで会場はそれなりに埋まっても、地上波のゴールデンタイムで流すにはもっと幅広いファン層が必要なのは確かだ。