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「海保機は聞き間違いという一段、重いミスを犯していた」

 国交省関係者は、「初公開した海保機の音声記録によれば、海保機の機長も副機長も、管制の指示を誤解したままやり取りしていたことが分かる。日航機と管制は見落としの問題だが、海保機は聞き間違いという一段、重いミスを犯していたとみることもできる」と海保主犯説を滲ませる。

 そんな報告書の“ニュアンス”に、業務上過失致死傷容疑で捜査を進める警視庁が気付かないはずもない。

 業過事件に詳しい捜査幹部OBの分析。

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「再発防止を目的とする安全委の調査と刑事責任追及を目指す警察の捜査は全く別個に行われるが、安全委の報告書は刑事事件の重要な証拠となる。警視庁も報告書と全く違う方向の捜査はできないだろう」

 業過事件では、事故が予想できたか、回避できたか、過失があったか、が立件への主なポイントとなる。

「別の航空機が着陸予定の滑走路に進入すれば事故が起きるのは当然で、今回の事故の核心は、日航機、海保機、管制各々の過失の程度に帰着する」(同前)

 となれば海保機の聞き間違いを指摘した報告書は「海保機長に責任を帰する方向へ捜査を一歩進めたものといえる」(同前)という。

 最終報告までは1年以上、立件までにはさらなる年月がかかる見通しだ。