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 さらに暴力団社会特有の“ある習慣”も、若者に敬遠される理由になっていると話す。

「ヤクザになって不祥事を起こすと、自分の手の指を切断して親分に差し出す、いわゆる『指詰め』がある。自分も若いころに指を詰めた。大した不始末ではなかったがけじめをつける必要があったし、当時は指を詰めた方がヤクザとして一人前という意識もあった。詰めた直後に医者に縫合してもらったが、麻酔が切れたら激痛だった。ただ、それでようやくヤクザになれた気がしたのも確かだ。しかし今の半グレの連中からすると、失敗して指を詰めるなど考えられないことなのだろう」

写真はイメージです ©AFLO

 現在は暴力団対策法で指詰めが禁じられているため、近年はこうした習慣は行われていないとされている。それでも一部では依然として“無理強い”に近い形で指を詰めるヤクザが存在し、暴対法に基づいて中止命令が出されたり、悪質な場合には強要容疑で組織の責任者が逮捕されるケースもある。

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暴力団が「闇バイト」の“取り締まり”を宣言する異常事態も

「闇バイト」に若者が流れていると推測され、“人材獲得”に窮している暴力団だが、地域によっては、暴力団が直に闇バイト強盗を抑えようと動きはじめたところもある。

 昨年11月、関東の暴力団関係者や警察当局の捜査幹部の間で「告知」と題された次のような内容の書面の画像がSNSで共有されていた。

 

「告知 昨今 闇バイト、オレオレ詐欺 強盗等 多発しておりますが それらの者、組織、団体には碑文谷一家の縄張りに於いて当家は断固たる処置を取ります(品川区 大田区 世田谷区一部 目黒区一部) 安心した地域づくりを心掛けております 十一代目碑文谷一家」

 碑文谷一家とは指定暴力団稲川会の有力傘下組織で、上記のように東京の南西部に活動拠点を構えている。暴力団社会では、関東だけでなく全国に老舗組織として名が知られている組織だ。

 ヤクザが「安心した地域づくり」とは皮肉だが、このような告知をメッセージとして発信したのには理由がある。同じく東京圏で活動する指定暴力団の幹部は、「自分たちはこのような強盗事件に関わっていないとのメッセージだろう」と話す。