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 夫のほうもまた、変化があったという。

「最初、やはり夫は逮捕されたくないので、逃げてしまうんですよね。でも最終的には罪と向き合うことを選びました。逮捕されたときは、『少しほっとした。これでもう逃げも隠れもしなくて済むから』と話していました。

 当番弁護士を通じて、私に『いつもひねくれててごめんね』と伝えてきたとき、彼の本音を聞けた思いでした。

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 収監されたあとも夫は泣き言をいっていましたが、『私が一緒になるから』と言って説得しました。口先だけでなく、本気で面倒をみる覚悟を決めていたんです。入籍したのは、そうした覚悟の意味もあるかもしれません」

「だから、私は夫の出所を待ち続けます」

 なお、現在の夫、つまり後に獄中結婚をする男性が実子を知ったのは最近だ。

「娘のことは、刑務所の面会のときに話しました。娘との写真を見せたら『かわいいな、お前の連れ子』と言うので、『お前の子じゃ!』って(笑)。

 かなり狼狽していましたね。でも、最終的にはとても喜んでいました」

娘とツーショットに写る吉野さゆりさん

 現在、吉野さんはパートをしながら占い師としても収入を得ている。塀の向こうへ行く前も、夫は経済的に頼れる存在ではなかったと話す。

「夫は無職でしたから、交際することによって経済的にプラスになることはありません。これまでどうやって暮らしていたのか本当に私は知りませんが、悪いことに手を染めたこともあったかもしれません。

 ただ、夫の視点で考えると、私といることは必ずしもメリットばかりではなかったと思うんです。私ははっきりした性格ですし、罪を見逃したりしません。逮捕されるリスクはかなり大きかったはずです。それでも私のそばから離れず、夫はそのリスクを犯してまで関係性を続けてくれた。それは夫なりの私に対する誠実さだったのではないかと思うんです。だから、私は夫の出所を待ち続けます」