身近な人が犯罪を犯してしまったら、あなたはどのような反応をとるだろうか。

 吉川あゆみさん(仮名、40代)は離婚した夫(以下、A氏)を待つ“待ち人”だ。A氏の罪名は監護者わいせつ罪・監護者性交等罪。懲役7年以上の刑に現在も服している。吉川さんはA氏の前に結婚した相手との間に生まれた娘を連れてA氏と再婚したが、その娘に対するわいせつ行為で逮捕されたのだ。

 吉川さんはなぜ、実の娘に性的虐待を行い離婚までしたA氏の出所を待っているのだろうか。

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突然、娘はA氏からの性被害を告白した

 吉川さんが生まれ育ったのは西日本のとある都市。初めての結婚は18歳のときだった。そのときの夫とは25歳で離婚、その後、A氏と再婚した。34歳頃には3人で一緒に暮らすようになり、10年が過ぎた。しかし娘が20歳を超えていた2022年、事態が急変した。

吉川あゆみさん

「A氏と娘の仲は良好で大きな摩擦もなく、父親として頼れる存在だと思っていたのですが、ある日『ついてきてほしい場所がある』というので行ってみると、そこは性被害を相談するためのNPO法人でした。そこで娘は、Aからの性被害を告白し始めたのです。

 いわく、小5で最初に再婚相手と性行為をし、断続的に関係を持っていたというのです」

 取材中、吉川さんの口ぶりから、娘を100%の被害者とは考えていないかのような印象を受けたので率直に尋ねてみた。すると、こんな理由があるという。