「釈放前指導導入教育員」として、仮釈放や満期釈放で出所する前の受刑者たちに「社会復帰プログラム」の授業を行っている、元吉本興業専務の竹中功氏。
ここでは、そんな竹中氏が、全国の刑務所で続けている釈放前教育の実体験をもとに書き下ろした『それでは釈放前教育を始めます! 10年100回通い詰めた全国刑務所ワチャワチャ訪問記』(KADOKAWA)から一部を抜粋。竹中氏が聞いた“獄中結婚の闇”を紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)
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服役中に受刑者の知り合いと結婚
実は刑務所の中にいてもできるビジネスがあります。とは言え、フィリピンの刑務所でもないので、塀の中には自由に使える電話もパソコンもないし、「ビジネス」と言われてもピンときません。しかし受刑中にお金儲けする手段があったのです。
ただこの話は正確さを欠きますので、「信じるも信じないもあなた次第」と言わせてもらいます。
こんな話を聞きました。男子刑務所で懲役が10年ほどある受刑者は、真面目に過ごした結果、仮釈放がもらえることになったとしても、最低でも7年や8年は服役することになるでしょうから、その中の独身者にはこんな声が掛かることもあるようです。
A「お兄ちゃん、わしの知り合いと結婚せぇへんか」(なぜか関西弁)
B「なんですのん?」
A「知り合いの女性を紹介するから、結婚してや。毎月生活費を振り込んでくれるわ」
B「会ったこともないのにいいんですか?」
A「ええやん。オレもその娘も気にしてへんから。お兄ちゃんも気にせんでええよ」
B「いやぁ、嫁さんをもらうなら、気になりますよ」
A「毎日一所懸命に働くと言うてるから心配せんといてや」
全く説得力のない話ですが、このままBは獄中結婚をして、外国人女性の旦那さんになるというものです。在留資格のない外国人が日本人と結婚すれば「日本人の配偶者等の在留資格」を取得できることになります。そうなると職種や就労時間等の制限もないため、日本人と同じように働くことが可能になります。