そんな苦しい生活環境であるにもかかわらず、同じ刑務所で一緒だった者が受刑者の家族を襲うとは許せません。刑務所では、私のもそうですが、「出所後、真っ当に生きて行ってくれ!」という思いを込めた講義と特別プログラムを並べているのですが、出所後、脱線する者が後を絶たないのです。
実は刑務所では家族などを守るため、また危機管理のため、電話番号や住所などのプライベートに関しての情報は受刑者同士で伝え合わないようにと教えたり、注意事項として喚起しているくらいです。
大学入試問題を外部に売る悪党
また、こういうことが昔ありました。1968~70年頃に大阪刑務所内の印刷工場で、ある大学の受験問題用紙が印刷されていました。そこで悪党は入試問題を抜き取り、受験生の親に売ろうということを考えました。
問題用紙を印刷ミスした物のように見せかけ、用紙を上手く抜き取り、それを運動の時間にバレーボールの中に仕込み、刑務所の外にわざとボールをほうり出し、仲間にこのボールを回収させていたのです。
そして外の輩は大学受験生を集め、この試験問題で勉強させ、何人もの合格者を出していたと言います。不正が発覚した前年は全員が不合格になったようですが、それまでの期間に不正で合格していた者がどれ位いたかなどは正確にはわかっていません。当時の報酬は、なんと受験生1人に付き1000万円程度だったとのことです。
この悪党チーム、最終的に仲間の全員が出所してしまったので、終いには自らが外から塀を乗り越えて中に侵入し、試験用紙を盗んでいたそうです。