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〈こんな世の中はもうダメだ。今日は最良の日。私と一緒に幸せの国へ行きましょう〉――

 朋美は、いつしかカード占いに傾倒するようになっており、裁判で、殺人容疑の証拠資料として提出された朋美の日記に「オラクル」に基づいて決行する、というようなことが記されていたのだ。

写真はイメージ ©getty

 オラクルカードとは、神様や天使など目に見えない存在からの助言をもらうためのカードのことだ。タロット占いで使うタロットカードと比較するとわかりやすい。どちらも占いで使われるが、タロットカードはゲームや占いのためのツールであるのに対し、オラクルカードは悩みや結論が出ないような事柄のお告げを、神託や預言、神の言葉などを意味する「オラクル」から受け取る。

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 そこで目を引くのは、美咲さんの背中に、犯行を示唆するようにして置かれていた一枚のオラクルカードだ。調べると、“殺し”を意味するカードだということがわかった。

 殺人犯が、占いで犯行を決めるなど、まさに奇想天外で、かつて一度も見聞きしたことがないほど珍奇である。

元夫が明かす「殺人に至るまでの道のり」

 朋美はなぜ占いに傾倒し、神のお告げを受け、そして娘を殺めたのか。

「私はずっと思っていたんです。いつかこうなるんじゃないかと思っていたんです」

 事件から8年3ヶ月後の2024年秋、朋美の元夫で、美咲さんの実父である阿部康祐(51歳)は、この事件は「予感されたことだ」として、実母による愛娘殺害に至るまでの道のり、そして愛娘と朋美への思いを語り始めた。

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