齋藤元彦兵庫県知事をめぐる文書問題で、3人目の自殺者が出てしまった。
1月18日夜、真相を追及する県議会の百条委員会の委員だった元兵庫県議の竹内英明氏(50)が、姫路市の自宅で死亡しているのが見つかり、病院に搬送されたが蘇生しなかった。遺書はないが県警は自殺とみている。
竹内氏は同市出身。早稲田大学政経学部の学生時代から、自民党の運輸大臣だった奥田敬和衆院議員の秘書を経験。姫路市議を務めた後に県会議員に当選、5期目だった。優秀と評判は高く、政治家として脂の乗った時の悲劇だった。
1月20日午前、村井紀之兵庫県警本部長が県議会の警察常任委員会で「事案の特殊性に鑑みて」と断った上で、「(竹内氏を)被疑者として任意の調べもしたこともなく逮捕するといった話はない」「明白な虚偽がSNSで拡散されていることについて、極めて遺憾だ」と語った。
こんなことを警察トップが公の場で表明するなど前代未聞で、「明白な虚偽」を拡散した「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首を許せないという姿勢が窺えた。
「『まだ前向きにはなれないんです』と言っていました。それが最後でした」
その日の朝、筆者が竹内氏が属していた会派「ひょうご県民連合」の上野英一幹事長に会いに行くと、上野氏はこう竹内氏の死を惜しんだ。
「竹内君は性格的にやわな男では全くない。むしろ立花党首があんなことをしてくれば、やり返すような強い男でした。ちょっとバンカラ風なところもあったんです」
「子供さんもいるし、奥さんは立花氏の脅しに怯えて錯乱状態だったと悩んでいましたが、昨年11月に議員辞職してしまった。昨年12月25日の百条委員会の後、ちょっと彼に確認事項があって電話したら意外に元気そうな声だったので『元気そうやん』と言うと『まだ前向きにはなれないんです』と言っていました。それが最後でした。議員辞職しなければ孤立せず何とかなったのでは。こんなことになるとは」