【伝統工芸品】
「この地震では伝統的な産業も打撃を受けました。輪島市では“輪島塗”の多くの工房や職人が被災しました」(繁田さん)。また、日本海を望む傾斜地に1000枚以上の田んぼが広がる「白米千枚田」と呼ばれる棚田にも多くの亀裂が走った。
③「円安」と「物価上昇」
円安とは、日本の通貨「円」の価値がアメリカの「ドル」に対して下がること。
例えば、1ドルと交換できるのが100円から150円になると、50円分価値が低くなる。以前は1ドル=100円以下という円高の時期もあったが、2022年から円安傾向に。24年は一時1ドル=160円を突破するまでに円安が進んだ。
円安になると、国民の生活はどうなるか。顕著なのは、外国からの輸入物価が上昇すること。
そのため、輸入依存率の高いエネルギー(ガソリン、電気・ガスなど)や食品(小麦製品、油脂類、加工食品など)の価格に影響が出る。
物価上昇で商品の値上げが増加する一方、中小企業を中心とした社員などの賃金は伸び悩んでいる。政府は物価高騰対策や企業への賃上げ促進策を展開しているが、家計のやりくりに苦しむ家庭が増えている。
「物価高になると、あなたの貯金の価値は上がるか下がるか」を考えさせるような問題が出そうです」(繁田さん)
「円安だとなぜ外国人観光客が増えるのか、それも考えておきましょう」(後藤さん)
「サピックスが今回調べたところ、中学の先生が受験生に知っておいてほしい時事テーマの1位が『円安と物価上昇』でした(2位はアメリカ大統領選、3位は少子化問題)」(住田さん)
●出題されそうな関連ポイント
【インバウンド】
円安でますます増えたのが訪日する外国人観光客(インバウンド)。経済を活性化させる半面、オーバーツーリズム(過度な観光地化によって、地域住民の生活環境などに悪影響を与える状態のこと)などの問題も発生しており、利点・欠点がある。「難関校では、観光税をとったり入場料を上げたりするほかに、観光地の混雑を軽減させる方法を受験生に考えさせる問題も見られました」(住田さん)