世界で最も厳しい大学受験国とも言われる韓国。毎日10時間以上の勉強、100万円を超える高額な塾通いなど、年に1度の受験日に人生を賭ける受験生も少なくないそうだ。
そんな韓国の受験事情について、自身も受験を経験し、YouTubeでも発信しているJINさんに詳しく話を聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)
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基本的に大学以外はない韓国の受験
――韓国の受験といえば大学受験のイメージが強いですが、中学受験や高校受験はどのような立ち位置なのでしょうか。
JIN 韓国では、基本的に大学受験以外はないんです。それまでの内申点を元に家から近い学校に割り当てられます。私立や公立関係なくランダムに振り分けられますが、学費は私立でも無料です。
私が日本に来てまず驚いたのが、受験が何回もあるというところです。小学校受験もありますよね。韓国でも都市部のとんでもないお金持ちエリアでは、そういう学校がありますが、ほとんどの人は大学受験以外は経験しません。
70年代に高校平準化(普通高校における学校毎の入試の廃止)が導入されて、義務教育まではお金や実力ではなくて平等にやりましょうという政策になってるんです。
――では、高校ごとに偏差値などはないのでしょうか。
JIN ないです。同じ学校に、韓国トップのソウル大学にいくような学生もいれば、大学受験をしない学生もいます。日本のようにこの高校に行けば「東大進学率◯%」みたいなことは全然なくて、高校で学力は測れないんです。
高校の授業だけでは大学受験対策ができない
――様々な学力の学生が一緒の高校に進学するわけですね。授業スピードも同じですか?
JIN 基本的に授業はみんな一緒です。レベルの高い学生だと授業を聞かずに自分で勉強している子もいます。それに大学受験のためにほとんどの学生が塾通いをします。高校の授業だけでは大学受験対策が全然できないです。
ただこの塾代がすごく高いんです。例えば地方の学生だと、ソウルからいい先生を見つけてきて、指導してもらいます。教育熱心な親が大都市に先生をスカウトしにいくなんてことはたくさんあるのです。有名な先生だと取り合いにもなります。
――塾代はどのくらいかかるのでしょうか。
JIN ピンキリですね。人気な先生だと1ヶ月で1科目100万円かかることもあります。地方の学生が1人で先生を呼ぶと多額の料金がかかってしまうので、地域のお母さんたちで協力して20人くらい学生を集めて安く呼んだりもします。塾の先生の年収は高くて、すごい人だと億を超える人もいます。そのくらい韓国では塾文化が根付いています。