芝国際中学は1期生となる生徒を迎える入試で学校の予想をはるかに超える志願者が殺到。120人の定員に対して累計2770人もの受験者が集まり、合格発表が遅れるなど前代未聞の事態も起きた。その混乱の教訓を生かしてか、昨年度の入試は志願者数も少し落ち着いた様子だったが、今年は再び志願者数が増えている。
東京女子学園と名前の似ていた東京女子学院中学(練馬区)は、2026年度からの共学化(高校は2025年度から)に向けて今年4月から英明フロンティア中学校・高等学校に改名する。
こうして名前を並べてみると女子校からの共学化が目立つが、男子校でも共学化に踏み切る学校はある。
世田谷区にある男子伝統校の日本学園はすでに共学化を表明し、明治大学の系属校になることも発表されている。2026年度からは名前も明治大学付属世田谷中学校・高等学校へと変わる。
日本学園といえば、元首相の吉田茂や岩波書店創業者である岩波茂雄などを輩出してきた歴史ある学校で、フィールドワークを起点に学びへとつなげる「創発学」などユニークな取り組みが話題になった時期もあったが、近年は人気が落ちていた。
模試によっては偏差値表に名前が出ないこともあるほどだったが、明治大学の系属校になるという発表があってから驚異的に志願者が伸びており、昨年度の入試でも最終日となる第3回入試は実質倍率が8倍に達した。
「女子校時代は子どもたちに共感しながら指導する方が響いていたが…」
共学化は生徒集めに苦しむ学校にとって復活の一手になることもあるが、“落とし穴”も存在する。
会社の中長期計画同様、学校も共学化に向けて何年もかけて準備を進め、教育内容や方針を練り直すことになる。とはいえ現場の教員が刷新されるわけではないため、男女別学校時代のやり方をしばらくは引きずってしまうのだ。
男子だけ、女子だけという環境に最適化した教育方法が確立されている別学校にとって、共学環境への適応は簡単ではなく、それまでの指導法が通じないと嘆く教員もいる。
共学化した元女子校で働いていたある教員は「女子校時代は子どもたちに共感しながら指導する方が響いていたが、男子はどうもそれだけでは響かなくて……」と、指導に苦労する様子を漏らしていた。共学化にあたっては教員側も手探りなので、とりわけ初年度はトラブルも起りやすい。