家族でメキシコへ移住
語学が好きになるきっかけは、小学生のときにさかのぼる。地元・鹿児島の中学校の教師だった父親が研究のため赴任したメキシコへ家族で移住し、8歳から11歳まで暮らしたのだ。現地の言葉であるスペイン語の聴き取りが得意で、あるとき、ドライブスルーで店員が早口でしゃべるのを聴き取ってその内容を話してみせ、家族を驚かせたこともあったいう(NHK出版デジタルマガジン「学びの秘訣」2022年7月25日配信)。
語学が得意なのは、もともと音楽の素養があるからなのかもしれない。母親がピアノ教師だったこともあり、物心がつく前から音楽がそこかしこにある環境で育ち、《私、話すより先に歌っていたんです。家の中でも、音楽がかかると歌い踊りだすような子供でした(笑)》と振り返る(『サンデー毎日』2017年7月30日号)。稽古事にも幼い頃から熱心で、4歳で体操、6歳でミュージカル、7歳でバレエを習い始めた。
「すごく恥ずかしがり屋なのに、歌ったり、踊ったり、それを誰かに見てもらうのが好きでした」
こうして見ると、幼い頃から演じることに興味があったのだろう。本人に言わせると、じつは小さい頃から引っ込み思案で、《すごく恥ずかしがり屋なのに、歌ったり、踊ったり、それを誰かに見てもらうのが好きでした。矛盾していますよね。メロディーの力を借りていつもとは違う自分になる、そんな感覚がありました。それは今も変わらなくて、役があれば胸を張って舞台に立てます》(『週刊文春』2021年11月11日号)。
もっともメキシコでは、通っていた日本人学校と同じ敷地内にあった現地の学校の生徒らとしばしば遊んだり、陽気なメキシコ人と交流するうち、小学6年生で帰国したときには周囲から明るくなったと言われるほど性格が変わっていたらしい。

