2021年度後期のNHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が再放送されている。ヒロインの1人・安子を演じた上白石萌音は、きょう1月27日に27歳の誕生日を迎えた。中学生で芸能界入りするまでの歩み、記録的ヒットとなった映画『君の名は。』の声優に抜擢された背景、緻密な“役づくり”の裏側とは……。(全2回の2回目/はじめから読む)
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2016年に大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』で上白石萌音は、神木隆之介演じる主人公の少年・瀧と心身が入れ替わってしまうヒロイン・三葉の声を当てた。監督の新海誠は、《オーディションではたくさんの素敵な女優さんと出会わせていただいたんですが、「三葉がどういう女の子なのか?」という輪郭を一番くっきりと僕に示してくれたのが、上白石さんだったんです》と、公開時に彼女との対談で明かしている(『ダ・ヴィンチ』2016年10月号)。
当の上白石は、作品の世界観にすっかり魅せられたものの自信はまったくなく、オーディションの帰りには「三葉、バイバイ」と一旦は心のなかで別れを告げていたらしい。それが、デビューが決まった「東宝シンデレラ」オーディションのときと同様、予想に反して合格する。彼女いわく《「決まったよ」という連絡をマネージャーさんからもらった時は、思わずほっぺをつねってしまいました。そんなベタなことを人って本当にするんだなって、自分でもびっくりしました(笑)》(同上)。
あらゆる方言でヒロインを演じてきた
『君の名は。』の三葉のセリフは飛騨弁だった。上白石はこれ以前、初主演映画『舞妓はレディ』で、鹿児島弁と津軽弁をちゃんぽんで話していた少女が、舞妓になるべく飛び込んだ京都の花街で、京言葉を身につけていくさまを演じていた。それもあって彼女は、47都道府県の方言を制覇したいと冗談めかして語っていたことがある(『キネマ旬報』2016年8月下旬号)。現在再放送中のNHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』でも岡山弁に挑戦して見事にハマっていた。