立花氏を直撃すると...

 昨年の『週刊文春』(7月25日号)に次の記述があった。告発者X氏の公用パソコン内の情報が兵庫県庁で出回っていた頃、文春は以下のように書いていた。

《中身についてはX氏が決して触れられたくなかったことであり、本稿では言及しない。ただ、X氏の告発を握りつぶすためにこれを利用しようとする行為がどうしようもなく卑劣であることは論を俟たない。》

 告発者のプライベートについて文春は報じなかった。公益通報とは関係ないからである。しかし立花氏ら選挙で利用した人たちがいた。

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 文春は知事選後には立花氏に直撃した(12月12日号)。すると立花氏は選挙期間中の言動の数々を翻した。たとえば立花氏は自死した告発者が「不同意性交等罪が発覚することを恐れての自殺」などと選挙ポスターなどを通じて主張していたが「同意であると確認できた」とあっさり前言を翻していたのである。

斎藤元彦知事 ©時事通信社

 立花氏の言説を「真実」と信じてしまった人たちはこのことを知っているだろうか? オールドメディアは見ない、読まないというなら届いていない可能性も高い。オールドだろうがニューだろうが「選挙戦で何が言いっぱなしになったのか、テレビや新聞でも検証が必要ではないだろうか」と当コラムでは言い続けてきた。

 すると先週、またしてもショッキングなことがあった。兵庫県の竹内英明元県議が亡くなったことが19日にわかったのだ。自死とみられている。竹内氏は斎藤知事のパワハラ疑惑などを調査する百条委員会の委員だった。すると、SNS上で竹内氏に対する誹謗中傷が過熱。昨年11月、「一身上の都合」を理由に県議を辞職した。

兵庫県警が「事実無根」と否定

 所属していた会派によると、《竹内氏は辞職前、斎藤元彦氏を応援する目的で知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が、SNS上で、竹内氏の自宅に行くと予告したことなどで「家族の生活が脅かされる恐れが生じた」と説明していた。辞職後も誹謗中傷が続いていたという。》(神戸新聞NEXT1月19日)

 驚くのは竹内氏が亡くなったあとにも立花氏が「竹内氏が県警から任意の事情聴取を受け、近く逮捕される予定だった」といった内容をSNSで発信したことだ。これに対して兵庫県警のトップが「全くの事実無根」と否定した。