「母からは性器に触らないように小さいときからずっと言われてきた。自分の体は自分のものだともっと早くから知っていたら、母にも自分の体と言えたかもしれない」とも言った。
記者は梅原さんを通して少年に直接取材を申し込んだが、「まっとうなことをしていない僕が取材を受けるのは違うように思う」と返事が来た。同時に、「だけど、僕と同じように母親とか父親にセックスされて悩んでいる子もいると思うので(僕が話したことは)記者に全部話して構わない」と語った。
「3人に性交を強要された」少年からの相談も…
梅原さんのもとには、他の少年からの相談もある。4年ほど前から2年にわたって電話相談を受けた未成年の少年は、アルバイト先の先輩の女性に誘われて部屋に行ったところ、先輩の友人の女性2人も加わって、3人に性交を強要されたと言った。
体の反応を笑われ、心をズタズタにされた。「でも体だけは快感を得た」と話した。その後、少年は3人のうち、優しく接してくれた1人に誘われ、部屋に行くという日々を繰り返した。
1年もすると、少年は大学の先輩たちとカラオケボックスで「乱交パーティー」を開くようになった。連れて来られた女の子が嫌がっても、自分の経験から「やれば気持ち良くなる」と思い、行為を続けた、と打ち明けた。梅原さんは、性的同意の大切さや被害者にとって一生の傷になるということを伝えたが、「どこまで理解したかはわからない」と懸念を示す。
また、高校2年の男子からは、父の再婚相手の義母との関係についての相談もあった。義母を女性として見てしまう自分もいて、酒に酔った義母が布団に入ってきて性行為をした、と打ち明けられた。児童相談所に連絡する方法があることも伝えたが、「よくないことをしているのはわかっている。でも被害に遭ったとは思っていない」と返事があった。
自分が被害者と思えない少年は多い
梅原さんは「女性から受ける男子の被害は、本人が物理的には快楽を覚えることが多い。いけないことだとわかっていても、自分が被害者と思えず、むしろ共犯者だと思いがちだ。それに男の子は加害に転ずることも少なくない」と指摘する。
長年、若者からの性についての相談に乗ってきて、様々な問題を熟知する梅原さんが最も大事にしているのは、子どもたちの主体性だ。「私には話を聞くことしかできないが、吐き出すことで彼らが楽になるならと思って耳を傾けている」と話している。
