たた 高校時代は進学校だったので、まわりは大人しい子ばかりでした。でも、僕の場合、派手な格好が好きだし、高校時代から髪を染めて、日サロにも通っていました。ただ人と話すのが苦手だったので、ちょっとヤバい子扱いされていたかもしれません。
そのせいか友達もいなかったです。高校生の会話って、どうしても下ネタに偏りがちじゃないですか。「誰々が誰々とヤッた」とか。それがすごく嫌で。
──2000年代中頃のお話ですよね。LGBTQという言葉も今より認知されていない時代でした。
たた そうですね。だから「男が好き」という自分の性指向も、許されないものだと思っていました。会話にも困ることが多かったです。放課後に多目的室とかで喋っているとき、「お前、誰が好きなの?」と聞かれて。「君だよ」とは言えないから、ウソをつくしかないじゃないですか。好きでもない女子を好きだと偽るのも面倒くさくて。
そのうち「いつも友達の輪に入らないよね」と言われるようになっちゃって。それでクラスメイトとも徐々に溝ができてしまいました。
野球部をやめた理由は「坊主頭の強要」
──中学時代までは野球部だったそうですが、野球と言えば坊主を強要されたりするチームもあるそうですね。
たた 自分はそれが嫌で野球をやめたんです。野球は幼稚園から中3までやっていたんですが、僕の地域の硬式野球部のシニアクラブに入るには、3年間坊主にしなきゃいけなかったんです。それが絶対に嫌で。母親には「野球が嫌いになったからやめる」と伝えたんですが、本当の理由は坊主にしたくなかったからです。
本当は続けたかったんです。小6の時に県大会でも準優勝して、4番バッターでしたから。母親にもウソをつくことになってしまった。