退職を余儀なくされた同僚も……
このサイクルに陥ると会社全体で見ても仕事効率が悪いし、生産性も落ちてしまうことはわかりきっているはずなのに、同じことを繰り返しているんですよね。ミスを繰り返す社員を擁護するわけではないですが、はたから見ていると、彼らは「仕事中に溜まったストレスを全力でぶつけるサンドバッグ」にされているとしか思えませんでした。
さすがに見兼ねた私を含む何人かは、彼らに「もし困ったことがあったら教えてください」など積極的に声をかけるようにしました。上司にも「周りから厳しい態度を取られているようなので、少し気にかけてあげてほしい」と伝えたのですが、改善はあまりなかったように感じました。今振り返ると、「もっと彼らのために何かしてあげられることがあったのではないか?」と思うこともあります。しかし当時の私には、それ以上にできることが考えつかなかったのです。
結局、彼らのうちの一人は「仕事ができないから」という理由で、営業職から望んでいなかった倉庫内作業へと異動させられました。そしてもう一人は、社長から呼び出されて「自分で会社を辞めるか、辞めさせられるか選べ」と詰め寄られて、自分で会社を辞めてしまいました。初めは「妻と子供がいるので辞めたくない」と抗議したそうですが、会社側が一歩も譲らず、とうとう辞めなくてはならなくなったようです。他の社員の反応はというと、「あの人、嫌われてたから仕方ないんじゃない?」というような感じでした。
「いじめ」の加害者になってはいませんか
これって、「会社ぐるみのいじめ」だと思いませんか。本人が望まない異動や退職をさせる前に、彼らを指導することができたと思いませんか。
テレビのニュースでは、よく中学生や高校生のいじめを取り上げています。それはもちろん重要な問題だと思うんですが、意外と身近にある「大人のいじめ」についても、みんながもう少し意識するべきではないでしょうか。
自分で気が付かないうちに「いじめ」の加害者になってしまっていないか。
それぞれがこれを頭の隅に置いておくだけでも、いじめって防げると思うんですけどね。