テレビっ子ミュージシャン・トリプルファイヤー吉田靖直さんのインタビュー。中編では高校時代の冴えないバンド「ナメック星」の思い出から、寝過ごして『いいとも!』を観てた大学時代のダメっぷりまで、知られざる“上京物語”を伺いました。聞き手はてれびのスキマさん。(全3回の2日目/#1より続く)
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文化祭に一回も出れなかったんですよね
―― バンドを始めたのは高校からですか。
吉田 そうですね。
―― そのメンバーというのは、その大喜利をやってたメンバーとは違うんですか。
吉田 それは違いますね。軽音部とかもなかったので、ただクラスで知り合った人に「やろうよ」って言って、そこから「あいつもやりたいって言ってる」とかつながっていって組んだ感じです。
―― その時もボーカルだったんですか。
吉田 その時はギターです。僕もたまに歌ってたんですけど、基本もうひとりが歌ってました。ブランキーとか、ビートルズとか。その時の流行ってるやつのコピー、エルレガーデンとかジャパハリネットとかもやりましたね。ちょっとモテたいみたいなのは結構ありました(笑)。
―― 実際モテました?
吉田 いや、文化祭に一回も出れなかったんですよね。
―― 出れなかったというと?
吉田 オーディションがあって、普通に毎年落とされて。
―― え、学祭でオーディションがあったんですか? 厳しい(笑)。
吉田 半分くらいになるって感じですね。7、8個応募があって4個になるとか。それで毎回落ちてました。高3の時は3つバンドを組んでオーディションに出たんですけど、参加7組中3組が合格の枠にも落っこちました。俺が入ってる3つのバンド、全部落ちたんですよ(笑)。
―― えーっ(笑)、逆に凄い。誰が選ぶんですか。
吉田 生徒会の人とか、音楽の先生とか。僕らのバンドが一番華がなかったとか、そういうのもあるんじゃないかなと思いますけど。モテそうなタイプのやつがいるバンドとかあるじゃないですか。僕らはそんなに目立ってないやつらというか、モテるやつらが集まったわけじゃないので、文化祭で求められてないというか(笑)。
「剣道部」「吹奏楽部」「ナメック星」「ソフト部」
―― じゃあバンドを組んで人前で演奏するってことはあったんですか。
吉田 中学校の時とかも、なんか軽くやってたんです。町のホールっていうか、施設みたいなところで1回やったり。おっさんのバンドとかに混じってやりました。高校だと文化祭のオーディションには落ちたんですけど、僕らが落ちた「バンドの日」の翌日に「部活対抗歌合戦」みたいなのがあって、部活じゃなくても出れますっていうので出ました。「ナメック星」ってバンドだったんですけど、プログラムが「剣道部」「吹奏楽部」「ナメック星」「ソフト部」みたいな(笑)。
―― あははは。
吉田 それで「ナメック星」って何だ? ってみんな思うから、結構観に来たんですよね(笑)。そしたら「バンドの日」が終わってるので設備も撤収してて、ギター初心者が買った時についてくるミニアンプみたいなので体育館でやったんで、音がめちゃめちゃ出てない。しかもベースがずっと半音下で弾き続けたりしてて、ものすごい勢いで人が帰っていくのが見えました。終わった後クラスに戻っても、ライブについて誰も何も言ってこない。というのが高校で唯一ライブをした思い出(笑)。