僕の家から100mくらいのところにハイロウズが来る
―― 初めて自分で観に行ったライブは。
吉田 ハイロウズを中2くらいに観ましたね。地元は香川の奥の、ほんとなんでもない町で、普通ライブツアーとか絶対来ない町なんですけど、僕の家から100mくらいのところにハイロウズが来るっていうので。
―― 実際に観てみてどうでしたか。
吉田 なんかライブっていうものを過剰に神聖化していたかなって気づきました。ライブを生で観れば、物の見え方とか、世界が違って見えるんじゃないかって思ってたんですけど、意外とまぁ……(笑)。
―― ハードルが上がりすぎてた。
吉田 まぁそうだよなって感じで。好きな曲とかやってくれて、感動しましたけど、まぁこのくらいの感動になるなと思ってましたし(笑)。
―― ライブでは、のれる方ですか。
吉田 その時は曲がかかると自然と体が動き出すんじゃないかと思ってたんですよ。ライブでモッシュしている映像とかあるじゃないですか。ああいう風に勝手になってしまうって思ってたんですけど、そうはならなくて(笑)。椅子があるホールだったので、もみ合いとかにもならないんです。知り合いとかがいるかもしれないという自意識もあったし。なんとなく体揺らすぐらいのことはしてましたけど。
―― もしかしたら、その体験が「カモン」(2ndアルバム「スキルアップ」収録曲)に繋がってるとか。
吉田 それは確かに結構大きいと思いますね。その時の思ったことみたいな。
―― あの曲では「両手上げろ~」「声出せ~」とか言って、のせようとする中、観客みんなが無反応になるっていう、お約束的なノリがあるじゃないですか。あれは自然発生だったんですか。
吉田 そうですね、自然に。別に他の曲でもそんな手上げて盛り上がったりはしないんですけど(笑)。「ウォー」とか「キャー」とか、なんかフェスのバンドみたいに、両手を同じ方向に振るみたいなのは、もともと全然ないんで。
―― 対バンみたいに、他のバンドのお客さんとかもいる時もそうなんですか。
吉田 それだと普通にのってくれて「フーッ」とか言ってくれる時もあるんですけど、結局そういうのに違和感を感じたみたいな曲だから、終盤になってその人が、「あれ?」って、恥ずかしい感じになったらめっちゃ申し訳ないなと思って(笑)。だから、「カモン」のときは状況に応じてめちゃめちゃのりにくいタイミングで声を発するという技術を途中で身につけました。
“上京物語”みたいなテンションで東京に
―― 大学は早稲田大学ですよね。東京に行こうと思ったのは何でだったんですか。
吉田 地元がわりと田舎の方なので、すごい閉じてる感じがするというか。そこでずっと過ごしてるおっさんとかみると、なんか寂しくなってきたんですね(笑)。ここでは何も起こらないだろうなと思って。自分は、今後どうなるにしろもうちょい、なんかの可能性があんのかないのかを確認するぐらいのことはしたいなと。今思うとちょっと恥ずかしいんですけど、“上京物語”みたいなテンションで東京に行きましたね。
―― 親御さんには反対されました?
吉田 親も早稲田だったんですよ。それで僕は東京に行けたらいいんで、大学はどこでも良くて、勉強しなくても行けそうな大学に行きたいって思ってたんですけど、親は「そんななんでもいいんだったら地元にいろ」みたいな感じになってたので、じゃあ頑張って勉強しようと。「あそこ受かるなら行ったらいいんじゃない」みたいな感じに、親を納得させるために頑張ったというか。