――成人女性で身長159センチ、体重42キロはかなり細いですよね。

安彦 急激なダイエットだったので、体中がスッカスカで、すき間風が吹いてるみたいでした。胸はペチャンコだし足は棒みたいで、当時の友人には「鎖骨がギーガー(映画『エイリアン』のクリーチャーデザイナー)の絵になってる」とか言われて。

 でも私としては、体重計で40キロ台の数字を見たら「勝った!」という気持ちが沸いて、すごくテンションが上がったんです。

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離婚後、一番痩せていた頃の安彦さん「完全に摂食障害でした」(本人提供)

体重を急に落とした反動で猛烈な食欲の波に襲われ、過食になって吐く

――勝った?

安彦 子どもの頃からぽっちゃり体型だったので、自分の体がすごく嫌いで。それが40キロ台になったことで、生まれて初めて自分が他人より痩せてると思えたんです。「私、もう太ってない!」とうれしくて。

 でも、体重を急に10キロも落としたから反動がきて、今度は猛烈な食欲の波に襲われるんですよ。そして過食になって吐く。それを繰り返して、今でいう摂食障害でした。そうなると気持ちも一気に急降下。

――離婚ハイからどん底に。

 

安彦 離婚直後の私は、家族を失うことの重さを全然わかってなくて。でも1年くらい経つと、自分のやったことの後悔に襲われて、その鬱々とした気持ちから逃れるためにまた食べて。

 そうやってフラフラしながら37歳で再婚するんですけど、再婚相手は結婚してたときの浮気相手なんです。

――離婚原因になった男性と再婚。

安彦 そうなんです。その後38歳、40歳、42歳で長男、次男、次女の3人を出産しました。だから40代は完全に子育て期です。

――38歳から2年おきに3人出産は大忙しですね。

安彦 再婚したとき、もう1人くらいは産むかもと思ったけど、まさか3人産むとは思わなくて。人生計画にまったく描いてなかったので、「目の前が真っ白になる」ってこういうことだと思いました。再婚後の3人目の妊娠を母に話したら、電話の向こうで絶句されましたし。自分でも当時を振り返ると「子宮が慌ただしかった」という感覚があります。