「更年期症状は軽いほうかも」と思っていたマンガ家の安彦麻理絵さん(55)だが、50歳の閉経後に重いメンタルクライシスに陥ったという。「1週間、着替えも歯磨きもしない、風呂も入らない」というセルフネグレクト期を経て、「老いとセックス」をどう捉えているかを聞いた。(全3本の3本目/最初から読む)
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閉経したら「女性はめっちゃ楽になりますよ」
――安彦さんは50歳で閉経したそうですが、閉経後の性生活はどう変わりましたか。
安彦 なんだろう……私は今55歳ですけど、閉経すると避妊しなくていいから、女性はめっちゃ楽になりますよ。
女性は、セックスするときは「避妊しなきゃ」とか、した後は「生理が遅れてる、妊娠したかも」とか、頭のどこかでいろんな心配をするじゃないですか。そういう面倒なことから卒業できるから、すごくいいと思います。
――ポジティブですね。
安彦 「閉経したら、いきなりおばあさんになっちゃうかも」と不安な人もいるみたいですけど、全然そんなことないし、セックスを楽しみたい人は後ろめたさがなくなるから、すごくいいんじゃないですかね。
私の40代の話をすると、まずアラフォーから3人産んで育てるのが、とにかくしんどくて……。それに40歳頃から、生理前のイライラが悪化したんです。
――「PMS(生理前症候群)」と呼ばれる不調でしょうか。
安彦 そうです。私の場合は、イライラが大噴火して最終的にキレて泣く、それを見た子どもたちもビビッてギャン泣き……という地獄でした。夫とも些細なことでケンカになるし、家族にはすごく迷惑をかけていたんです。それが、閉経したらPMSもなくなったから、私としては「よかった!」という気持ちがありますね。
――では、更年期もわりと穏やかに?
安彦 いえ、今は楽になったんですけど、50歳で閉経したときにドーンと大波がきたんです。